6軸センサーで“近未来ナビ”〜旭化成

» 2005年04月08日 22時48分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 多機能化に伴い、携帯電話にはさまざまなセンサーが搭載されるようになってきた。加速度センサー(用語参照)は、富士通の「らくらくホンIII」(2003年9月の記事参照)や三菱電機の「V401D」に搭載され、歩数計や写真撮影時の方向検知に使われている。地磁気センサー(用語参照)は、au端末などナビ機能を備えた携帯に搭載され、進む方向が常に画面の上になるよう自動回転する「ヘディングアップ機能」を実現している。

 旭化成グループは東京ビッグサイトで開催された「Sensor Expo Japan 2005」で、6軸ナビゲーションセンサーを使った“ちょっと先の携帯ナビ”を提案した。同社が開発中の“3軸地磁気+3軸加速度”のセンサーを使って“何ができるか”をアピールするのが目的だ。

 同グループの旭化成マイクロシステムは地磁気センサーを使った電子コンパスを開発しており、これまで国内端末ではauの「A5502K」「A5505SA」「W21SA」「W21S」に搭載された実績がある。今秋には3軸電子コンパスに3軸加速度センサーのインタフェースを搭載した「AK8971N」の量産に着手、来年度には3軸加速度センサーも含めてワンパッケージ化した製品をリリースする計画だ。

 左がau端末に搭載された「AK8970N」。右は今秋にも量産予定の「AK8971N」

 この2つのセンサーの組み合わせは、既に愛知製鋼が3軸地磁気+2軸加速度センサーを開発している。このセンサーを搭載したボーダフォン端末「V603SH」は、“振って操作”が可能なことやゲームへの応用をウリにしているが、旭化成グループは、“次世代徒歩ナビ”としての用途にフォーカスした。

 端末を手に持って歩いているときには平面地図を表示させ、立ち止まって確認のために端末を起こすと立体地図表示に切り替わる──といった使い方や、持ち主が歩いた歩数をリアルタイムでナビの地図上に反映させる機能などを紹介している。

 デモでは、Pocket PCに3軸地磁気センサーと3軸加速度センサーを取り付け、デバイスの傾きに合わせて立体地図の視点が変化する様子を見せた

 旭化成マイクロシステムの地磁気センサーは、磁極を判別できる半導体素子「ホール素子」を使ったピエゾ抵抗型。MR素子やMI素子のセンサーに比べて「感度は低いが3軸化しやすい」(説明員)。オートキャリブレーション機能を備えているのも特徴の1つだ。

 旭化成の6軸センサーの仕組み。今秋に量産予定のセンサーには加速度センサーが載っておらず、信号処理を行うインタフェースのみが搭載される。来年度には加速度センサーも含めワンパッケージ化した製品を開発するという

 「携帯メーカーは開発スパンが短いので、メーカーに負担がかからないよう携帯のアプリに沿った形に作っている」といい、ICだけの部分だけでなく、最適なソフトアルゴリズムも含めたトータルソリューションとしてセンサーを提供したいとしている。

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