フライ、ダディ、フライ「お父さんが勝ったら電話します」Mobile&Movie 第171回

» 2005年07月22日 15時20分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名フライ、ダディ、フライ
監督成島出
制作年・製作国2005年日本作品


 最愛の妻と娘、三人で幸せに暮らしていた鈴木一。しかし、ある日学校帰りに娘の遥が男子高校生に殴られ、顔の形が変わるほどの大怪我をしてしまいます。会社から慌てて病院を訪れた鈴木は、変わり果てた娘の姿にショックを受けます。

 鈴木は娘を殴った石原に謝罪を求めましたが、心から謝っている様子はありませんでした。なぜなら石原は権力者の息子で、これまでも問題が起きるたびに、親のお金で解決してきたのです。また、石原はインターハイで優勝するほどのボクシングの腕前。相手に怒りをぶつけることもできず、お金の入った封筒を受け取ってしまった鈴木。

 そんな父の姿を見て、遥は

 「来ないで!」

 と病室から鈴木を追い出します。一人家に帰った鈴木は、やはりこのままでは腹の虫がおさまらないと、鈴木に復讐をすることを近います。そして、翌日高校の門の前で

 「石原を出せ!」

 と叫びました。サラリーマンの乱入で騒然となる高校生たち。興奮した鈴木は包丁を振り回し始めますが、男子生徒に殴られて気を失ってしまいます。目が覚めた鈴木は、自分が別の高校に間違えて来てしまったことを聞かされます。介抱してくれた高校生五人組に情けないと思いつつ、鈴木は自分がなぜ石原を追ってここまで来たのか、経緯を話し始めます。石原を打ち負かすまで娘には会えないとも。

 このおっさん(=鈴木)の話に同情した高校生たちは、石原に勝てるようにトレーニングをしてみないか、と持ちかけます。教育係は、一発のパンチで鈴木を倒した朴舜臣(パク・スンシン)。ちょうどこの日は終業式、夏休みをかけて“戦いかた”の訓練をすることになったのでした。

 こうして、スンシンとおっさんのトレーニングが始まりました。最初は走ることさえ、ままならなかった鈴木。筋肉痛になりながらも、めげずに毎日練習にやって来る真剣な姿に、最初は乗り気でなかったスンシンもいつしかのめり込んでいきました。つらい特訓を経て1日ごとに確実に、たくましくなっていく鈴木。二人の間に奇妙な絆も生まれつつありました。

 妻には内緒で休暇を取り、会社に行っているフリをしていた鈴木でしたが、実は鈴木が石原と対決するために体を鍛えていることはバレていました。高校生たちが、夕子と遥のもとを訪ねて、9月1日が決戦の時だと教えていたのです。

 「お父さんが勝ったら電話します」

 遥は高校生たちから、携帯電話をプレゼントされます。石原と戦って勝てたら、鈴木が遥に会いに来ると約束して。大切なものを取り戻す、最高の夏休みが終わり、はたして遥の携帯電話は勝利のベルを鳴らしたのでしょうか? すべてのサラリーマンに勇気を与えてくれる、熱い作品です。

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