エリクソンとソフトバンクグループの携帯事業会社BBモバイルは7月26日、3Gネットワーク(W-CDMA)と無線LAN(IEEE802.11)の間で、音声と映像のハンドオーバー実験に成功したと発表した。
BBモバイルが実験している1.7GHz帯を使ったW-CDMAネットワークと、ソフトバンクBBが提供中のADSLサービスに接続された無線LANとの間で、音声とビデオセッションを同時に別のネットワークに切り替える(ハンドオーバーする)というもの。
項目 | W-CDMA | 無線LAN | ハンドオーバー |
---|---|---|---|
音声 | 回線交換 | VoIP | 呼転送/B2B UA |
ビデオ | パケット通信/IP | ビデオ/IP | モバイルIP(MIP) |
当初W-CDMAで、音声およびビデオセッションが接続されており、切り替えを行うと0.5〜1秒程度両方のネットワークを同時に利用し、その後W-CDMAを切断、無線LANのみの接続に切り替わる(make-brefore-breake)。実用化時は、無線LANのエリア内に入ったら無線LANに自動的に切り替わり、エリアを出たらW-CDMAにまた戻るといった動作を想定している。
ソフトバンクは、無線LAN機能を載せた携帯電話を使い、自宅に戻ったらADSLモデムに無線LANで接続してIP電話がかけられるといったサービスを想定してきた(7月22日の記事参照)。同社の1.7GHz帯W-CDMAのテストを行うベンダーの1社でもあるエリクソンの今回の実験成功により、こうしたサービスの技術的な実現可能性が高まった。
回線交換の音声とパケット交換のビデオセッションを、同時にハンドオーバーさせたことが今回の実験のポイントだ。回線交換の音声とVoIPの音声のハンドオーバーや、パケット交換ビデオとIPのビデオのハンドオーバーは、従来から実績があった。
回線交換とパケット交換を混在させたサービスは3GPP Combinational Sercices(CSI)と呼ばれ、3GPPのRelease 6で標準化されたもの。回線交換とIMSを組み合わせて実現する。回線交換の音声とVoIPとのハンドオーバーはRelease 7で検討中であり、CSIのハンドオーバーはRelease 8に盛り込まれる可能性がある。
3G携帯電話では、音声通話にもVoIPを使うオールIPのソリューションが話題に上がることが増えているが、「音声のパケット化を携帯でやると、品質や遅延の問題がある。今のところ、回線交換を使った方が品質も効率もいい」と日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏。
エリクソンは、シナリオの1つとしてはオールIPを想定するが、2つ目のシナリオとして回線交換の音声を残したCSIも検討している。
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