KDDIは8月2日、同社初となるFeliCa(おサイフケータイ)対応のWIN端末2機種の詳細を発表した。
これまでモバイルSuica発表会で外観だけは披露されていたが(7月11日の記事参照)、詳細が明かされたことになる。ソニー・エリクソン製の軽量端末が「W32S」、日立製作所製の「W32H」はフルブラウザやPCドキュメントビューアも搭載した。いずれも9月上旬以降の発売となる。
両機種共通の特徴は以下の通りだ。
「FeliCa対応を決めたときから交通系をターゲットとして商品開発を行ってきた。9月にEZ FeliCa端末を投入して普及させて1月を迎えるつもりだ」(プロダクト統括部長の酒井清一郎氏)
端末2機種のコンセプトは、“スマートのおサイフケータイ”。ここに2つの意味を持たせた。「1つは賢い。車でいうとマニュアルに対するユーザーをサポートするオートマのようなもの。もう1つはデザイン。スタイリッシュでコンパクト」(酒井氏)
ユーザビリティの面では、両機種とも「EZ FeliCa」メニューをメインメニュー内に用意し、そこからFeliCa関連アプリを一覧したり、FeliCa専用ポータルにアクセスできるようにしたい。
セキュリティ面でも2種類のロックを設けたほか、それを簡単に解除できる仕組みを用意。FeliCa端末の標準機能にしていくという。基本のロックである「FeliCaロック」はFeliCa機能をオフにし暗唱番号で解除するというもの。待受画面で右ボタンを長押しすると設定/解除が行える。
「あらかじめ登録した簡単な操作で一時的に使えるようになる。使い終わると一定時間後、自動的にFeliCaロックがかかる」(酒井氏)という「クイック解除」が新しい試みだ。「W32S」では、端末を閉じたままで側面のボタンを設定した順番に押すと一定時間FeliCaロックが解除される。
もう1つの「遠隔オートロック」はドコモが導入しているロック機能と同様。端末に、特定の番号から一定時間内に一定回数電話をかけるとFeliCa機能がロックされる。
主にセキュリティに関連したユーザビリティの向上、そしてデザイン重視。FeliCa機能自体については、先行するドコモに対する差別化は難しい。FeliCa自体とは異なる部分で違いを出していくのが現状だ。
今後KDDIはFeliCa機能をWIN端末には標準的に採用する予定。既にKDDIの端末ラインアップはWIN端末にシフトしており、エントリー端末を除いてほとんどがFeliCa対応になっていくかたちだ。また1X端末についても状況を見て対応を検討するとしている。なお、WIN端末であってもしばらくはFeliCa非対応の機種も登場するという。
FeliCaとは直接関係ないが、今回の2機種はW-CDMAやGSMと同様の電話番号が登録されたICカード「au ICカード」を採用している(7月13日の記事参照)。カードを差し替えることで、同じ電話番号のまま機種を変えることが可能。GSM端末にカードを差せば、これまでKDDIが不得意としていた欧州などでも同番号で利用できる。KDDIはこれを「GLOBAL EXPERT」と呼んでいる。
ただし、FOMAなどが採用しているICカードと異なり、電話番号をカード内に登録したり、au ICカードレベルでロックをかけることはできない仕様だという。
今回の2機種は、東京原宿の「KDDI DESIGNING STUDIO」に常設展示される予定になっている。
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