作品名 | 亀は意外と速く泳ぐ |
監督 | 三木聡 |
制作年・製作国 | 2005年日本作品 |
23歳の専業主婦、片倉スズメは単調な毎日を過ごしていました。夫は海外へ単身赴任中で、たまに電話がかかってくるものの、話題はペットの亀のことばかり。その亀の世話をしているうちに1日が終わり、スズメの存在は他の誰にも見えていないよう。
久しぶりに、スズメが人と会う約束をしたのは、幼なじみのクジャク。平凡なスズメとは正反対で、クジャクはドラマチックな生き方をしています。そんなクジャクのこと、待ち合わせの時間にすんなりとは現われません。
「ちょっとクジャク、何してんのよー」
携帯電話で連絡してみると
「遅れる? 2時間?」
さすがクジャク。遅刻してくる時間も凡人とは違うスケールの大きさ。やって来たクジャクと会話していても、スズメは自分の平凡さに落ち込んでしまいます。このまま、退屈な毎日に埋もれるようにして歳を取っていくのか……。
そんなある日、スズメはひょんなことから「スパイ募集」の張り紙を発見します。「スパイ」という言葉に惹かれたスズメは、張り紙に書かれていた番号に電話をしてしまいます。そこで教えられた住所へ向かうと、古びたアパートで地味な夫婦が待っていました。その二人こそ、スパイのクギタニ夫妻。ある国のスパイである二人は、日本国内で潜入活動していることを説明。妻のエツコは、スズメの佇まいを見て、この平凡さはスパイ向きと、スズメを熱心に勧誘します。夫のシズオからも活動資金として五百万円を渡され、思わず頷いてしまうスズメ。こうして、スズメもスパイの一員となったのでした。
スパイとしての鉄則は、決して目立たないこと。クギタニ夫妻に言われていたものの、スパイになれたことで浮き足立つスズメは、知らず知らず目立つ行動をしていました。すると、スズメの携帯電話がなり
「エツコです」
「はい?」
「その先のファミレスまで来る!」
と呼び出されてしまいました。
「困るなぁ」
とシズオは、あらためてスパイの心得をスズメに説きます。こうして、スズメの日常はクギタニ夫妻に監視されつつ、スズメもスパイとしての自覚が出てくるように。
「60点。合格です」
とエツコから携帯電話にメールが届き、スズメもスパイとしてやっと認められたのでした。スパイ演習の指導には携帯電話が使われていましたが、本物の指令には別の連絡ルートがあることを、スズメはクギタニ夫妻から教えてもらいます。その連絡があった時は、緊急事態と。そんな色々なスパイの秘密を教えてもらって、スズメの毎日は前とはまったく違って見えるように。おいしくもまずくもないラーメンの秘密や、旅行好きの豆腐屋の主人の謎など、平凡な日々の中に、非凡な真実が埋もれていたのです。
スズメがスパイになって数カ月、なぜだか街が騒々しくなってきた頃、緊急事態の非常連絡が入ります。とうとう、スズメにスパイとしての初めての指令が下されることに。緊張した面持ちのクギタニ夫妻。はたして、スズメに与えられた使命とは? 奥様スパイが活躍する、ゆるい小ネタ満載の作品です。
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