亡国のイージス「まだ起きてるか?」Mobile&Movie 第176回

» 2005年08月26日 17時39分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名亡国のイージス
監督阪本順治
制作年・製作国2005年日本作品


 福井晴敏氏のベストセラー小説「亡国のイージス」を、防衛庁、海上自衛隊そして航空自衛隊の全面協力のもと、実物のイージス艦を使って映画化した本作。主人公の仙石は、携帯電話をはじめあらゆる通信手段を使って、日本の危機を救おうとします。

 以下、内容に大きく触れますので、これからご覧になる予定の方は注意してください。

 海上自衛隊のイージス艦「いそかぜ」は、東京湾沖で訓練航海の真っ最中。「いそかぜ」の先任伍長の仙石は、仕事の合間にこっそり携帯電話を取り出し、娘に連絡します。

 「まだ起きてるか?」

 娘の声を聞いて安心する仙石。妻を亡くしてからは、一人娘のかおりを何よりも大切にしていました。海上自衛隊という職業上、家を留守にすることが多い仙石は、時間を見つけては娘の様子を伺っていました。

 そんな心温まる時間も束の間、「いそかぜ」に副艦長の宮津とその部下が乗り組んできました。航海訓練にしては、様子がどこかおかしい宮津たち。仙石は内密に、沖縄米軍基地から奪われた化学兵器「GUSOH」が、某国の特殊工作員によって持ち込まれたという情報を手に入れます。

 特殊工作員と聞いて、仙石は急遽乗組員として加わった如月を真っ先に疑いました。しかし、如月は宮津の部下として現われた男こそが特殊部隊のトップ、ヨンファだと言うのです。

 混乱する仙石は、艦長のもとへ走ります。時すでに遅く、艦長は何者かに殺害された後でした。愕然とする仙石の前に宮津が現われ、今すぐ船から下りるよう勧告します。その時はじめて仙石は悟りました。ヨンファと手を結び、国家を裏切ったのは宮津だったのだと。宮津は、日本は滅ぶべき国に成り下がったと、志を貫くため日本に刃を向けたのでした。

 宮津は日本政府に対して、全ミサイルの照準は東京に設定したと告げました。「GUSOH」を搭載したミサイルは、東京を壊滅させるに十分な量。防衛庁情報局「DAIS」内部本部長の渥美は、事態収拾にあたりますが、最新鋭の防御システムを持つ「いそかぜ」には手も足も出ません。

 そんな時、「いそかぜ」の構造を誰よりも詳しく知っている仙石が、一度艦を降りたものの、ひっそりと戻ってきていました。ミサイルが発射されれば、家族もろとも、母国を失ってしまう。使命に燃える仙石は、船内無線を使って宮津に呼びかけます。しかし彼らの決意は固く、命を狙われるはめに。

 その頃、日本政府は「いそかぜ」への対応に紛糾していました。ミサイルを止めるには爆撃しかないと。渥美は別の作戦に一縷の望みをつなぎ、爆撃はギリギリまで待つよう嘆願します。ちょうどその時、「いそかぜ」の外部でランプのような明かりが光り出しました。それは、仙石が「いそかぜ」の現状を知らせようと、モールス信号を送っていたのでした。それを解読し、別の作戦を考える渥美。

 こうして仙石は捨て身で、「GUSOH」のありかを探し出し、宮津たちの計画を止めようとします。最後の最後には、手旗信号まで使って、“通信”し続けた仙石。たった一人の戦いになっても、この国を守りきることができると信じていたのです。男のプライドを賭けた、海上の熱い戦いが描かれています。

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