壇上には再びジョブズ氏が登場し、2つめの大きな話題であるiPodについて説明した。まず世界でのiPodの販売台数について触れ、2005年第1四半期だけで620万台の販売があり、いまだその数が上昇しているとした。また同氏によれば、iPodは携帯オーディオ全体の74%のシェアを占めるという。またホンダやアキュラなどの自動車でiPod搭載オプションの提供が開始されることから、現時点で全9メーカーが同オプションに対応。2006年に米国で販売される車の実に3割がiPodに対応することになる。
そして新型iPodだ。ジョブズ氏は壇上のスライドに3つのiPod製品(iPod、iPod mini、iPod Shuffle)を示し、今回発表する製品は、3つのシリーズの中でも最も競合の激しいiPod miniを置き換えるものになるという。同氏は、iPod miniを発表した際のフレーズ「1000 songs in your pocket」を持ち出し、ジーンズのポケットに入るサイズの新製品、それが新製品「iPod nano」(9月8日の記事参照)なのだという。壇上のジョブズ氏の背景には、同氏のジーンズのポケットがクローズアップして表示され、そこから新製品を取り出して紹介するという趣向だ。
同氏がポケットに手をかけようとした瞬間「おっと、ちょっと待ってください。実はこっちのポケットなんですよ」と、右の前側のポケットの内側についている、より小さなほうのポケットに手を突っ込んで、iPod nanoを取り出した。小ささをさらに強調するための演出に、会場中はどよめいた。
さらに同氏はその小ささを強調するため、既存のiPod製品との大きさをスライドで次々と比較した。初代iPodと比較して5分の1、iPod miniと比較しても3分の1である。さらに、超薄型携帯で話題をさらったMotorolaのRAZRと比較し、大きさはほぼ同じだが、薄さはワンランク上だという。そのほか、CreativeやSamsung、iRiverなどの競合製品を次々と例に出し、容積にしてそれらの3分の1から2分の1、特に薄さを強調した。iPod nanoの厚みは0.27インチ(約6.9ミリメートル)であり、鉛筆1本程度の幅と一緒である。重さは1.5オンス(約42グラム)だ。またiPod miniではHDDを採用していたが、iPod nanoでは記録媒体がフラッシュメモリへと変更されている。そのせいか、バッテリー持続時間は14時間と、従来の水準から比べて非常に長くなっている。
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