「SA700iS」のGPS機能を解剖する(2/3 ページ)

» 2005年09月26日 16時25分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 2つめは、地図中の建物などを立体表示する「バードビュー」の実現だ。カーナビではおなじみの機能だが、これによりビルの外観などを目印に、進行方向などを定めやすくなる。

 これらのナビゲーションを実現するエンジンは、KDDIのEZナビウォークと同じ、ナビタイムジャパンのものが使われている。もちろん、徒歩だけでなく電車などを含めた複数の交通機関にまたがったルート検索が可能だ。しかもこちらはサービス料無料で利用できる。ただし、ドコモとナビタイムジャパンの契約上、2008年12月31日をもってサービスが終了するといった制限がある。また、ダウンロードすることで機能のアップグレードが可能なEZナビウォークと違い、組み込みソフトとして搭載されているSA700iSでは、エンジンのユーザーインタフェースが現行EZナビウォーク/ナビタイム(7月21日の記事参照)よりも1世代古いものになっている。

GPSの性能はどうか

 SA700iSのGPS機能自体の性能はどうか。まずGPS測位を行うチップはQualcommのベースバンドチップ「MSM6250」と一体化されている。Qualcomm製のベースバンドチップはミドルレベル以上のすべてにGPS機能が組み込まれており、au端末のGPS機能もこのベースバンドチップの機能を使っている。SA700iSでは、GPSアンテナは通話用マイクのあたりに搭載した。通話用のアンテナはヒンジ部近くにあり、両者は分離されている。

 測位方法は、最初にロケーションサーバと通信を行って制御情報を入手し、それによりGPSの測位速度と精度を上げるA-GPS方式だ。携帯電話のGPSでは一般的な方法である。少々異なるのは、基地局情報を元にした複数基地局測位機能を設けていないこと。たとえばau端末のGPSでは、基地局をGPS衛星に見立て、衛星からの電波が届かない場所でも測位が可能な「AFLT方式」をサポートしている。SA700iSの場合、GPS衛星が見えない場所での測位は、基地局IDを取得するセルID方式と呼ばれる簡易的なものだけとなる。屋内など衛星からの電波が届きにくい場所では測位が難しい。またいったん測位を済ませたあと、通信なしで連続測位を行う、いわゆる自律測位機能にはSA700iSも対応している。

※GPS衛星が全く見えない場所でも、最寄りの基地局の位置をベースとした簡易的な測位は可能です。お詫びし、訂正させていただきます

 少々面白いのは、時刻補正にGPSを使えることだ。そもそもGPS衛星は高精度の原子時計を搭載しており、時刻を電波に乗せて送っている。GPS測位は複数の衛星からの時刻情報を取得し、そのズレから衛星との距離を計測。三角測位によって位置を決定する。そのため、GPS対応端末は高精度の時刻補正が原理的に可能になっている。SA700iSでは、これを利用し「GPS測位を行ったときに、時刻補正を行う」(横田氏)ことを可能にした。FOMAは、901iSシリーズから、ネットワーク経由の時刻補正機能を採用したが(5月17日の記事参照)、別の方法がここでは使われている。

Qualcommチップ+BREW──FOMA最速のレスポンス

 三洋電機はFOMA端末──つまりW-CDMA端末を開発するに当たり、他のFOMA端末とは違い、Qualcomm製のベースバンドチップを使った。同社は、「海外向けUMTS(W-CDMA+GSM)端末でもQulacommチップを使っていたので、自然な流れだった」(横田氏)。また、三洋電機が端末を供給しているau端末では現在全機種がQualcommチップを使っていたことも要因の1つとして挙げられるだろう。

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