au“でも”おサイフケータイ生活──おサイフとしてのこだわりは細部に宿る「W32S」ロードテストNo.1

» 2005年09月27日 02時24分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 早いもので、おサイフケータイが登場してから1年あまり。都内で生活していると、「レジでケータイをかざす人」もチラホラと見かけるようになりました。思い返せば、私が“おサイフケータイ1号機”の「P506iC」(2004年7月の記事参照)を購入した直後は、「支払いはケータイで……」とレジで言うたびに、怪訝な顔をされたり、アルバイト店員が店長を呼びに行ってしまったり。気恥ずかしい思いばかりしていたことを考えると、たった1年でここまで認知・普及させたドコモの努力に頭が下がる思いです。

 さて、今回のロードテストは“auのおサイフケータイ第1弾”こと「W32S」(機種別記事一覧参照)。レポーターは私、神尾が担当します。

 私はこれまでITmediaビジネスモバイル「時事日想」で、おサイフケータイの主に携帯電話ビジネスとしての広がりを取材してきましたが、端末をじっくり使いこなすロードテスト記事は初めて。ロードテスト先達の例にならい、ユーザー視点で「おサイフケータイ生活」をレポートしたいと思います。

“さりげない”こだわりのおサイフケータイ

 auのおサイフケータイ第1弾は、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のW32Sと日立製作所製の「W32H」(8月2日の記事参照)の2機種があり、どっちが高機能化というと、間違いなくW32Hに軍配が上がります。あちらは「SD-Audio」準拠の音楽再生機能を備えていますし、何といっても定額制が適用されるフルブラウザも搭載しています。S編集長はじめ、同業者の多くが「買うならW32Hでしょ」といっていたわけですが……。

 それでもあえてW32Sを選んだ理由は、逆説的ですが、“多機能”ではないから。とかく機能詰め込みに走りがちなおサイフケータイの中にあって、シンプルでさりげなさを求めるコンセプトに共感したからです。また販売価格が最新のおサイフケータイとしては安いので(他キャリアも含め)、一般ユーザーにとっても買いやすいモデルでしょう。

 機能はシンプルながら、おサイフケータイとしての「こだわり」は、数ある対応端末の中でも随一のものです(8月12日の記事参照)

 既報のとおり、W32Sは側面に「FeliCaキー」、ループアンテナに光る「FeliCaサイン」を備えています。前者はいわゆるプログラマブルキーで、標準状態では長押しでEdyの残高確認ができます。また詳しくは連載の中で書きますが、FeliCaロックの一時的な解除キーの機能を持たせることもできます。

 初期設定ではFeliCaキーの長押しで、背面液晶に残高が表示される

 一方、後者はリーダー/ライターに近づけるとホンワリと光り、おサイフケータイの利用圏内にあることを知らせます。しかし実際にコンビニなどで試すと、FeliCaサインの光量はそれほど強くなく、室内照明にかき消されて注意していないと気づきません。これは筆者の購入端末がフレームオレンジで、グリーンの光りが見えにくいからかもしれませんが。

形状にも、こだわり

 もう1つのおサイフケータイとしてのこだわりが、形状です。

 W32Sでは携帯電話を自然に持ったまま、リーダー/ライターに「かざす」というモーションに移れるように、モバイルFeliCaのアンテナが背面に設けられています。これはW32Sの公式ブログでも明かされている内容ですが、確かに使いやすい。ケータイを持つ時は下半分(本体側)をホールドしますから、その反対側にアンテナを設置するのは理にかなっているわけです。

 FeliCaアンテナは背面にある(左)。本体側のヒンジ部にループアンテナがあるため、手探りでFeliCaにかざす面を把握できる

 さらに、この形状は前述のループアンテナとも関係して使いやすさを向上させています。W32Sは本体側のヒンジにループアンテナがあるので、それによって「本体側がどちらかが」が手探りでわかります。すると、ポケットに入れたままでも「本体側をホールドする」→「そのまま背面液晶をリーダーライターにかざす」というモーションが、ごく自然にできるようになる。ポケットからケータイを取り出し、アンテナ面を確認する必要がないワケです。このように、W32Sには「おサイフケータイとしてのこだわり」が随所にあります。

 さて次回は、おサイフケータイを使う上で避けて通れないFeliCaアプリの初期設定や移行手続きについてレポートしたいと思います。

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