携帯電話の操作デバイスに進化の兆しが見え始めた。アプリを使ったゲームへの需要に対応するため、現行の携帯電話の操作には十字キーが使われる場合がほとんどだ。しかし、改めて“タッチパネル的”なインタフェースが搭載されるかもしれない。
CEATEC JAPAN 2005の会場では、十字キー以外の操作法を模索するいくつかのデバイスを見ることができる。
アルプス電気が展示しているのは「グライドセンサ」と呼ぶ、タッチセンサーだ。ノートPCで一般的なマウスの操作パッドを、携帯電話のダイヤルキーの上にかぶせてある。
「ダイヤルキーのスイッチと、タッチセンサーが一緒になっている」(説明員)のが特徴。従来のボタンによる操作も可能にしつつ、マウスポインターをタッチセンサーで操作できる。センサーは静電容量方式だ。説明員によると、今年に入って急速に“携帯フルブラウザ”のニーズが高まってきたことから、タッチセンサーのようなポインティングデバイスが求められるようになってきたという。
普通に考えると画面自体をタッチパネルにすることが考えられるが、「指で画面に触ると汚れる。画面をさわらせたくないというメーカー側のニーズが高い」と言う。
東芝松下ディスプレイテクノロジーが展示しているのは、新方式を使ったタッチパネルだ。これまでタッチパネルは、指の静電容量を利用する静電容量方式、感圧型ともいわれる抵抗膜方式、専用のペンを使う電磁誘導方式などが一般的だった。今回のパネルでは、液晶のTFTトランジスタ内に微少な光センサーを形成している。いわゆるSOG(System On Glass)だ。「外からの光に対して、影になった部分をチェック」(説明員)することで、指の位置を検出する。
他方式が液晶の上にさらに数枚膜を重ねる必要があるのに対し、この方式では液晶パネルのみで動作させられる。薄型化やコスト面でメリットがあるという。「開発は終了している。要望があれば製品化も可能」」(説明員)
ただし外部からの光を検知する光センサーであるため、「真っ暗闇では使えない。薄暗いところでは感度が落ちる」という制限もある。
ドコモブースに展示されている2画面携帯には、人だかりができている。ダイヤルキーの代わりにタッチパネルを組み込んだインタフェースを持ち、“今選択できる操作”が画面に大きく表示されるのが特徴。
詳細は別記事を参照してほしいが、画面自体にタッチするのではなく、グラフィカルなガイドを表示させるためにタッチパネルを使うというアイデアは新しい。
先日ウィルコムが発表した「WX310J」では、指紋認証デバイスをタッチパネルとして使い、十字キーの代わりに搭載した。フルブラウザの搭載や、より分かりやすいナビゲーションの必要性、そしてセキュリティの観点……。十字キーに落ち着きつつあった携帯の操作デバイスだが、さまざまな可能性が現れ始めている。
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