どこまで進む!? ミニ・スリム化競争韓国携帯事情

» 2005年10月07日 01時14分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 以前、韓国で携帯電話端末のサイズ二極化(2005年4月19日の記事)、そして薄型化が進んでいる(2005年6月13日の記事)という情報をお伝えしたが、最近はその傾向がさらに強まっており、韓国メーカーが競って小型・薄型化を進めている。

VK Mobileから、“名刺サイズ”の世界最軽量の携帯電話登場

 急増する小型端末の代表格といえるのは、9月7日にVK Mobile(以下、VK)が発表した「VK2000」だ。驚くべきはその小ささで、49.9×89.9×8.8ミリ(幅×高さ×厚み)ミリという名刺大の超薄型・軽量サイズ。そして重さ48グラムという、同社によると「世界最軽量」を実現している。

 もともと低価格帯を狙った製品ということもあって、機能こそ通話やメッセージといった基本機能に絞られているものの、アンテナを内蔵したコンパクトさを強調するデザインと、光沢あるメタルキーパッドを採用することで安さを感じさせない。

 VK2000は海外向け製品として開発されたため、9月の中国への投入を皮切りに、欧米などGSM圏に向けて投入する計画。さらに韓国国内向けのCDMA方式に対応した端末も12月には投入する予定だ。

VK2000は、VKの子会社による独自のベースバンドチップを用いることで名刺サイズの小型・軽量化を実現しながら、1.5インチ液晶を実現している

 小型端末はVKだけでなく、EVER(KTFテクノロジーズ)やCYON(LG電子)からも次々と投入されている。EVERのスライドタイプ小型端末「KTF-X1000」は、45×89×23.6ミリ(幅×高さ×厚み)と、サイズこそVK2000より大きいが、当初から韓国市場向けということもあってMP3再生やメガピクセルカメラなど豊富な機能を備えている。さらに、例えばMP3を聞きながらゲームができるなど、2つ以上の作業を一度にできるマルチタスク機能も備えている。

 またCYONの折りたたみタイプの小型端末「LG-SD460」は、小さいだけでなく端末表面に韓国産紫水晶を採用しているほか、UVセンサーも搭載するなど、女性を強く意識した端末となっている。大きさは47.3×88.8×24.5ミリ(幅×高さ×厚み)だ。

スライドタイプの薄型端末も続々登場

「PT-K1500」は、後発ながら90×42×16.9ミリ(幅×高さ×厚み)、89グラムと、2センチを切る薄さを実現している

 RAZRをはじめとした「スリムフォン」の人気も依然高い韓国市場。先行するMotorolaやSamsungを追うべく、ほかのメーカーも続々と薄型端末を投入している。

 最近の傾向としては先行メーカーと差別化を図るためか、スライドタイプの薄型端末が増えている。また最初はSK Telecomのみに対応していたスリムフォンも、ここ最近はKTF対応が始まった。最新のものとしては、Pantech & CuritelのKTF向けスライドフォン「PT-K1500」が挙げられる。

 スライドタイプの端末はその機構的な問題から、折りたたみタイプより薄型化が難しいとされている。しかしPT-K1500は、MP3機能やメガピクセルカメラ、T-Flashスロットを装備しながら16.9ミリという薄さを実現しており話題となった。

 デスクトップPCとノートPCを見ても分かる通り、小型・薄型端末の開発には高い技術力を必要とするが、こういった小型端末がSamsungやLGだけでなく、中堅メーカーであるVKやEVERからも発売されているというのは注目に値するだろう。3大メーカーだけではない、韓国メーカーの底の厚さを感じることができる。

ファッション重視の安価フォンは普及するか

4色のカラーが用意されたSPH-3900。主に学生をターゲットとした端末で、リポート作成などもできるよう、PDFやテキストファイルに対応したファイルビューアも搭載されている

 これまで見てきた小型・薄型端末は、CDMA 1x EV-DOによる高速通信に対応していないものも多く、搭載されている機能もMP3やカメラなど、(韓国向けとしては)基本的なものに限られていることが多い。それだけにこれらの端末はすべて30万ウォン(約3万円)台と、比較的安価だ。

 例え高価でも、高機能な最新機種ならば買うとされる韓国ユーザー。しかしメーカーが「高機能」を犠牲にしてまで携帯電話を小さく薄くするのは、見た目を重視する傾向もまた強くなっていることを表している。

 それを象徴しているのが、Samsungの小型端末「SPH-3900」だ。この端末は85.9×44.2×21.3ミリ(幅×高さ×厚み)、81グラムと非常に小さいのはもちろんだが、韓国では珍しくシルバーブラック、シルクホワイト、エンゼルブルー、スイートピンクと4色のカラーバリエーションが用意されている。

 日本では端末のカラーバリエーション展開は珍しくないが、1年間に発売される端末数が日本より多い韓国では、カラーバリエーションが用意されるのは珍しく、ほとんどの端末はシルバーやブラックなど無難な色で占められている。そんな中で、4色ものカラーバリエーションが用意されるのは異例であり、形状だけでないファッション性を求める声が強くなっている証拠ともいえるだろう。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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