既報のとおり、ボーダフォンが4つ目の定額プラン「LOVE定額」を発表した。特定の1人に対する通話とメールが月額315円でかけ放題、送り放題になるサービスで、テレビ電話サービス「TVコール」も通信料が半額になる。
同日都内で開催された記者会見では、ボーダフォン執行役副社長 コンシューマー事業統括本部長の野副正行氏が登場。新定額メニューの狙いなどを話した。
野副氏はこれまでにボーダフォンが展開してきた、「メール定額」「デュアルパケット定額」「家族通話定額」の3つの定額サービス(4月20日の記事参照)が、ユーザーに受け入れられていると話す。「3Gサービスに契約しているユーザーの、過半数がデュアルパケット定額もしくはメール定額サービスに入っている」。
デュアルパケット定額ユーザーはどちらかというと20代から30代が中心になるかと思ったが、意外に50代から60代の男性にも好評だと野副氏。「50〜60代男性の2割強が加入している」。一方メール定額は女性に人気だが、こちらも幅広い年齢層に利用されているという。
こうした定額サービスのおかげで、ボーダフォンに乗り換えたユーザーも出てきていると野副氏はアピールする。「ボーダフォンのプランが分かりやすくなった」「変わってきた」「チャレンジする姿勢が見える」との声がユーザーから寄せられるなど、手ごたえを感じているようだ。
この流れに乗ってボーダフォンが新しく追加するのが、今回発表したプランになる。
「名づけまして、LOVE定額。……ネーミングは私が考えたわけではなく、『こんなオヤジがよく言うよ』と言われそうで気恥ずかしいですが……」
LOVE定額はもちろん、恋人同士の通話を想定したサービス。それ以外にも、「夫婦」「親子」などさまざまなLOVEのかたちがあり得るという。
ボーダフォンはまた、この冬“LOVE”を前面に出した戦略を展開することを明かした。「LOVEに関わる無料コンテンツを提供するほか、“愛のフォトキャンペーン”を実施する。賞金総額1000万円で、バレンタインデー頃までに入選作品を決める」。同キャンペーンではユーザーの撮影した写真を募り、有名写真家や一般ユーザーの選考を経て優秀賞を決定するというプロセスを考えているようだ。
また20世紀フォックスと提携して、映画「タイタニック」のもう1つのエンディングを描いた作品の先行上映会に1800人を招待する。この応募に外れたユーザーの中からさらに200人に、新エンディングを視聴できる機会を与える予定という。こうした企画でクリスマス〜バレンタインデーといった若者の“恋愛イベントシーズン”に攻勢をかける計画だとした。
「消耗戦ではない」 |
ボーダフォンの新しい定額は、収益面でドコモやKDDIに劣るボーダフォンの経営や、同社のネットワークを圧迫しないのだろうか。野副氏はこの点を「回線上のシミュレーションをしても、特に問題が起きるとは考えていない。実際、パケット定額なども(それによって生じるネットワーク負荷が)想定内だった」と話す。 「これによってARPU(Average Revenue Per User)がどう変化するかなどのシミュレーションはしているが、対外的には公表しない。ただより多くのユーザーを獲得でき、ほかのサービスの利用も増える。全体を底上げすることが可能で、決して消耗戦を挑んでいるわけではない」(同氏) |
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