夏野氏はプッシュトークの利用シーンを、こう話す。「今までは多人数での待ち合わせ場所に来て、一番早く来ていそうな人間に電話をかけていただろう。しかしこれからは、プッシュトークで参加者全員と情報を共有できる。『今、遅れているんだけど』『なんで遅れてんだよ、早く来いよ』といった会話をみんなでできる」
もちろん、プッシュトークで1人だけを指定して、1対1で会話することもできる。「相手が手を離せない状況にあるかも分からない。電話をかけるまでもないときに、奥さんに『これから帰るんでよろしく』とプッシュトークで話しかけることも考えられる」。ほかにも、今回のようなイベント発表会で「多人数チームを『現場側』、『裏方側』と分けて登録しておいて、会場を設営する15人に指示する……といった風にトランシーバー的に使うこともできる」という。
夏野氏はまた、そうした分野に特化していけば「(通常の)通話と食い合うことにはならない」と強調する。通話とは異なるコミュニケーションを提供できるのではとした。
夏野氏は、PTTのサービスは世界で始まりつつあるが、大半はビジネスユースを想定したものだと紹介する。しかし今回、ドコモではコンシューマ向けサービスを目指して仕様をチューニングした。このため、サービススペックは独自の要素が大きいという。
auもPTTサービスを開始すると伝えられているが、「他社のことが分からない段階で明言できないが、いまのところはドコモユーザーだけと会話するサービスになる」
音声定額サービス導入がネットワークに与える負荷は、今後どれほどのユーザーがサービスを利用するかにもよるため一概にはいえないという。ただ、一回の通信で飛ぶパケット量そのものは「音声データなので、そんなに重くない」。説明員に聞くと、32Kbps程度の帯域を利用するようだ。
「計算しないと分からないが、このためにネットワークを増設するようなことは考えていない」とした。
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