W-ZERO3はいい端末だと思う、だけど萌えないそのわけは……モバイル編集部、ただいま取材中

» 2005年10月21日 07時11分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 おはようございます。モバイル編集部ウィルコム担当?のヨシオカです。W-ZERO3の詳細記事を書いていたら、朝になってしまいました。眠い……けど、寝る前にコラムを1本。

 ここのところしょっちゅうウィルコムの発表会があり、ちょっとしたお祭り状態です。昨日はW-SIM端末第3弾、「W-ZERO3」の発表会に行ってきました。ウィルコム、シャープ、マイクロソフトの共同発表会ということもあり、会場は押すな押すなの大賑わい。W-ZERO3、注目度高いですね。

 会社に戻ってきてからも「ヨシオカさーん、アレ見てきたんでしょ。どうだった?」とか「詳細記事はいつ上がるのー」とか話しかけられ、注目度の高さを再認識した次第です(記事、遅くなってすいません……)。

 W-ZERO3、すごくいい商品だと思います。PDAにW-SIMを差せるようにして、W-SIM端末として売っていく、というウィルコムのアプローチは、ものすごく正統的だと思います。

 大型&高解像度の液晶は「これならWebブラウズしよう!」っていう気になるし、ぷちぷちした感触のキーボードは打っていて気持ちいいし、展示されていたデモ機はまだまだチューニング途中だったとはいえ、Windows Mobile 5.0はPDA用のOSとしてさすがよく練られている。繰り返して言いましょう。W-ZERO3はとてもいい端末です。「ケータイとPCのいいとこどり」というコンセプトもとても魅力的。

 …だけど。

 高機能な携帯、ということなら負けてない「ボーダフォン702NK」を非常に気に入っていた私ですが、正直言ってあまりW-ZERO3には萌えなかったのでした。どうして702NKはよくて、W-ZERO3はダメなんだろう? その理由をつらつらと考えてみたいと思います。

 理由その1。W-ZERO3はPDAであって、ケータイ(PHSも含めた広い意味で)じゃないよなあ……という気持ちがどうしてもぬぐえませんでした。端末に通信モジュールを差して通話ができます、というだけだったら、極端なことを言えばこれまでのPDA+通信カードでもできたんですよね。

 W-ZERO3が欲しい!と思うのは、PDA好きな人だと思うのです。ケータイ好きじゃなくて。「これ、ケータイじゃなくてPDAだよなあ。確かに通話はできるけど」という気がしてなりません。

 理由その2。その1とちょっと似てますが、メニューがやっぱりモロにPDAなところ。待ち受け画面がいかにもWindowsなブルー背景で、しかも「Today Menu」ですからねえ。PDA的には常識なんでしょうけど、やっぱり電話としては何かが違う。

 PDAは仕事のツールかもしれませんが、携帯電話にはやはり、パーソナルな持ち物という側面があると思うのです。待受け画面とか、配色とかはやっぱり端末メーカーがそれぞれ作り込んだ上で、ユーザーが自分で好きに変えられるほうが“電話っぽい”。(※待ち受け画面の変更の可否について、誤解を招くようなかきかたをしていましたので加筆しました 17:43)

 例えば同じWindows Mobile端末でも、KDDIが愛・地球博で使っていた「愛・MATE」は電話らしいUIです(2004年12月8日の記事参照)。W-ZERO3のユーザーインタフェースは、素のWindows Mobileに非常に近いのですが、もしW-ZERO3のUIが愛・MATEみたいな感じだったら、受ける印象はずいぶん変わってくると思うんですよね。

photo KDDIの「愛・MATE2」種。愛・地球博も終わっちゃいましたねぇ……。

 理由その3。「片手で操作できない」ということ。小さなことだけどこれが一番“ケータイじゃない”と感じる決定打かも……。

 W-ZERO3を実際に手に持ってるところを想像してみてほしいのですが、横に持ったら(キーボードがせり出ている状態)間違いなく両手持ちですよね。次に縦持ちですが、これも片手じゃ操作できないんです。本体のすごく下の部分にボタンが配置されているので、片手で本体を支えながら操作するのは、事実上無理。

 普段、自分が携帯をどういう風に使っているかを考えてみると、よっぽど急いでメールを打ってるとき以外は、片手で使っているんですよね。例えば電車の中で手すりにつかまっているとか、片手は荷物を持って立っているとか、片手しか空いてない状態も多いし。さらに私の場合はいつでもノートPCを持ち歩いているので、両手が使えるならノートPCを使えばいいのでは、という話もあったりして……。

 とまあそんなわけで、「W-ZERO3はPDAとしてはよくできているけど、あくまで『通話ができるPDA』であって『高機能なケータイ』とは違う」というのが私の感想なのでした。ウィルコムの八剱社長は「携帯電話の高機能を求める人をターゲットにした」とプレゼンで言っていました。でも、ケータイ好きが飛びつく端末かというと、ちょっと違う気がする。

 PDA好きというわけじゃない、ケータイ好きな人たちが飛びつくような高機能W-SIM端末……そんな端末が出てくるのを、楽しみに待っていようと思います。とりあえず私は11月中旬までに、秋冬のウィルコム新端末の中からどれを使うか決めなくてはいけないのでした。

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