作品名 | エリザベスタウン(Elizabeth Town) |
監督 | キャメロン・クロウ |
制作年・製作国 | 2005年アメリカ作品 |
一流シューズメーカーの新鋭デザイナーとして、私生活を犠牲にしてまで仕事をしてきたドリュー(オーランド・ブルーム)。ニューモデルの発売でさらに大きな成功を掴むはずが、プロジェクトは失敗に終わってしまいます。ドリューのデザインそのものが酷評され、会社には返品されたダンボールが山積み。覚悟はしていましたが、ドリューは社長から解雇を言い渡されてしまいます。同じ会社の恋人だったエレン(ジェシカ・ピール)も途端に冷たくなり、ドリューは失意を抱えて自宅に戻ります。
数日後には、ドリューの失敗が記事になった雑誌が発売されてしまう……家族や世間に知れ渡る前に姿を消してしまいたいと、ドリューは死を覚悟します。切羽詰ったドリューの気をそらすかのように、携帯電話の明るいメロディが鳴り響きます。電話に出ると、妹のヘザー(ジュディ・グリア)からでした。
「悪い知らせがあるの」
「明日にできない?」
これ以上、落ち込みたくないドリュー。しかし、ヘザーは続けます。
「ダメ……」
電話の向こうでヘザーは泣いているようでした。
「パパが死んだの」
父の死がドリューに追い討ちをかけます。
「ママは取り乱してるの。兄さんが行って。長男の責任よ」
父が死んだのは、父の故郷のケンタッキー州エリザベスタウン。そこへ行ってくれと妹が頼んできたのです。しかたなく、引き受けるドリュー。自らの命を絶とうとした瞬間に父の死が知るなんて。
さらに暗く沈んだ気持ちで、ドリューはケンタッキー行きの飛行機に乗り込みます。そこで出会ったのが陽気なスチュワーデスのクレア(キルスティン・ダンスト)。空いているので、エコノミーからファーストクラスに席を移してくれたり、エリザベスタウンへの道順を教えてくれたり、やけに親切。ドリューはクレアの好意に少しだけ救われて、父の故郷へ降り立ちました。
母と父の親戚が仲たがいしていたため、ケンタッキーを訪れるのは久しぶりのドリュー。そんなドリューを、親戚たちは家族として暖かく迎えてくれました。そして彼らに父がどれだけ愛されていたかも、初めて知ったのです。仕事にかまけて父と話す時間さえなかなか作れなかったことを、後悔するドリュー。たまらなく寂しい気持ちに陥り、携帯電話で連絡を入れます。
「ヘザー、電話してくれ」
「エレン? ドリューだけど……」
妹も元恋人も、そしてクレアも電話に出ません。ドリューは留守電にメッセージを残しただけ。
「誰でもいいから電話してくれ」
ドリューは携帯電話を握り締めて祈ります。
すると、3人から次々に電話がかかってきました。キャッチホンで取り、保留したり、割り込ませながらドリューは3人と話し続けます。
「待って、切らないで」
ヘザーには用件を伝えて、ドリューはエレンに優しい言葉を期待しますが、同情だけ感じて電話を切ります。最後に電話がつながったのが、クレア。
「やっと私の番が来た?」
クレアは悪びれもせず、明るく答えました。そんなクレアに自分の今の心境、父への想いを話してしまうドリュー。会ったばかりなのに、なぜか話しやすく、会話が途切れないのです。明日も仕事でフライトに発つというクレアにドリューは
「戻りはいつ?」
と聞きます。しかし、クレアは
「会わないでこうして電話で話しているだけのほうがいいかもね」
と答えます。かれこれ数時間、携帯電話越しに喋りつづけて、すっかり心の距離は縮まった二人。これきりの関係になってしまうのか。ふたたび出会うことはあるのか。父の故郷エリザベスタウンで、すべてを失ったドリューは、何を見つけるのでしょうか?
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