ドワンゴは、ひろゆき氏と組んで何を始めるのか(1/3 ページ)

» 2005年11月29日 18時00分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ドワンゴと、2ちゃんねるの管理人として知られる西村博之(ひろゆき)氏が、携帯業界に新たなサービスを仕掛ける。それは“Webではなくメール”を切り口にしたもので、“キャリア課金ではなく広告収入ベース”の新しいビジネスモデルを採用したものだという。

 サービスを開始するのは、新会社であるニワンゴ。ドワンゴと有限会社未来検索ブラジル、それにCELLが出資して設立する会社だ(11月14日の記事参照)。ドワンゴ事業開発部第二セクション担当部長で、ニワンゴの社長に就任した杉本誠司氏に、事業の概要と狙いを聞いた。

Photo ニワンゴの杉本誠司社長

メールで「尋ねる」と返事が返ってくるサービス

 ニワンゴのサービスは、11月14日に報道陣向けに発表したプレスリリースでは詳細が明らかになっていなかった。そこにはただ、「携帯電話メールを利用した一般ユーザー向けサービス」という記述があっただけだ。

Photo ニワンゴのロゴマーク。メールをあしらったデザインになっている

 杉本氏は、このサービスのポイントは携帯メールを“情報検索”に使うことだと話す。「メールを、物事を知るための検索窓口に使う。ポータルにメールを送信するとサーバ群が適切な答えを返す、という仕組みで、『Web至上主義』ではないところに新鮮味がある」

 そう話しながら杉本氏は、携帯を操作し、「時刻表 浜町」と本文欄に書いたメールをニワンゴのサーバに送る。ワンテンポ遅れて帰ってきた返信のメールは、こんな文面になっていた。

 「どもー。浜町駅の時刻表(都営新宿線) ■上り 16:36 橋本行 各停 16:40 笹塚行 各停……」

 「携帯メールの宛先に指定のアドレスを入力し、メール本文に知りたい情報の単語を入力し送信するだけで、情報が返信メールで送られてくる」。先ほどのメールなら“時刻表”という単語がキーワードになっており、時刻表の後に続けて違う駅名を入力すれば、その駅の時刻表情報が返信される仕組みだ。

 ニワンゴではこのキーワードを「コマンド」と呼ぶ。コマンドは時刻表以外にも「乗換」「辞書」「天気」などいくつかの種類が存在し、ニワンゴのサーバはそのワードに応じて電車の乗換案内を返信したり、辞書機能を提供したりするという。各サービスは2006年1月にサービスインの予定で、現時点で多くのアイデアが出ているという。

 例えば、コマンドの後にアーティストの名前を入力すれば、そのアーティストの楽曲がどのサイトで配信されているか分かるようにする。楽曲名を入れると、歌詞を表示するようにしてもいい。住所を入力すると、付近のグルメ店舗情報が返信される。あるいはユーザーの入力に応じて、ストーリーが分岐する「ゲームノベル」のようなコンテンツも考えられる。

 ちなみに、メール冒頭で「どもー」という言葉が書いてあったように、ユーザーはニワンゴのサーバと会話を楽しんでいるような感覚を味わえるようにする予定。「まったく無機質な回答でもいいのだが、差別化するためにコンシェルジュ的なナビゲーターが答えるようにする。これは『ニワンゴ』というキャラなのだと思ってもらってもいいし、そうでないと思ってもらってもいいが……」。情報以外に、オマケのチップス情報も盛り込むことを考えているようだ。

メールならではのデメリットはないのか

 メールでのやり取りというと、どうしてもWebサイトの検索サービスと比較して「ワンテンポ遅れる」という印象がつきまとう。キーをクリックして、すぐ結果が表示されるWebサービスと異なり、わざわざメール形式で受信して、それを開く……という手順を踏む必要があるからだ。場合によっては、メールが遅延する可能性もある。

 ただ杉本氏は、遅延の心配はあまりないと話す。

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