トウモロコシとケナフから生まれました──エコ携帯「N701iECO」

» 2005年12月12日 17時38分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 「ケースの樹脂成分の90%が植物成分。製造時からリサイクルまでのCO2排出量はABS樹脂から50%削減」──。こんなエコ携帯「N701iECO」(12月12日の記事参照)を、NTTドコモが開発した。ターゲットは環境問題に関心のある20代から40代前半の女性。ボディカラーはピンクで、端末の表面はあえてケナフの繊維を柄として残している。

「N701iECO」の開発背景を説明するNTTドコモ プロダクト&サービス本部プロダクト部第三商品企画担当課長の廣澤克彦氏(左)とエコケータイ「N701iECO」(右)。ボディカラーはピンク×シルバーの1色のみで、ピンク、リーフのスタイルプラスが付属する。機能面はN701iと同じ


メニュー画面や待受画像は、エコロジーをイメージしたものがプリセットされる

 「コンセプトは、世界初、携帯電話にケナフ繊維強化バイオプラスチックを使用。材料の生成段階から地球に優しい安全・安心携帯電話」だとNTTドコモ プロダクト&サービス本部プロダクト部第三商品企画担当課長の廣澤克彦氏。ケナフ繊維強化バイオプラスチックは、とうもろこし由来のポリ乳酸にフレーク状のケナフを混ぜ込んだもので、耐熱面や強度面に優れている(6月9日の記事参照)


 利点としてあげられたのは、石油系資源の節約と、CO2の削減。「植物を原料としているので石油系のプラスチック素材を従来端末ほどには必要とせず、石油系の資源を節約できる。また、トウモロコシとケナフを計画的に栽培する必要があるので、この段階で光合成によるCO2の削減ができる。ケナフは通常の樹木より3倍から9倍、CO2の吸収能力が優れている。こうした点からもこの組み合わせは環境に優しいといえる」(廣澤氏)

 同じ素材を使った試作機は、愛・地球博のドコモブースで試験的に使われていた。「来場者からの『早く出してほしい、出たら絶対買う』という積極的な声が多かった」(廣澤氏)ことを受けて、製品化を急いだという。

 廣澤氏は「エコケータイだからといって、ユーザーに機能面で何かを我慢してもらうようなことは避けたかった」と、ABS樹脂端末と何ら変わりなく利用できる点をアピール。ただ落下時の耐衝撃性や耐熱性はN701iと同等となるが、スタイルプラスについては「成分の違いから来る素材の伸縮性などの問題から、今のところN701i用のものは保証対象外」とした。ただし、「製品発売までには改善されるかもしれない」とも話している。

 製造コストは、「N701iに比べて数千円レベルで高い」が、販売価格はできるだけN701iと同程度にできるよう調整したいとしている。


この1台で終わるわけではない

 「製造の段階から環境に配慮した携帯を」──。エコ携帯の開発背景について廣澤氏はこう話す。ドコモは2005年11月9日に5000万契約を達成、一方で回収した使用済み端末は558万台という数字が出ている。「年間に数千万台の規模で携帯電話がユーザーの手元に届き、不要になった携帯電話がいろいろなところにあふれてくることがこの数字からも分かる」

 今後のラインアップについては、現状では開発および部材のコストが高いことから「検討は進めているが、具体的には決まっていない」というに留めた。ただし、「この1台で終わるわけではない」とし、技術の進歩や量産効果を見ながら継続して開発する方向であると説明している。


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