2006年は勝負の年〜移動体4キャリアの抱負は?

» 2006年01月05日 17時56分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 新年を迎え、移動体4キャリアのトップがそれぞれ年頭所感を発表した。2006年はHSDPAやワンセグ放送といった次世代通信サービスが始まるほか、秋以降にはMNP(モバイル番号ポータビリティ)の開始という一大イベントが予定されている。各社の代表も、新しい状況を意識したコメントが目立った。

NTTドコモ「MNPは総合力の勝負」

 NTTドコモの中村維夫社長は、2004年度の決算が“営業開始以来”となる減収減益を記録するなど、厳しい年だったと前年を振り返る。しかしおサイフケータイを次々リリースするなど、生活に密着した新たな利用シーンの創造に取り組んだ結果、携帯契約数は5000万を突破したともコメント。携帯を「ITインフラ」から「生活インフラ」へと発展させる――とする持論を、改めて展開した。

 MNPは「総合力の勝負」になると中村氏。端末、料金、ネットワーク、サービスなど「あらゆることをもう一度見直し、具体的な方策をスピーディに実行する」(同)。これにより、ドコモならではの先進的なサービスを提供したいという。

 また今春にも提供するとされるクレジット決済ブランド「iD」(2005年11月8日の記事参照)にも言及。ドコモ自らがクレジットカード発行者になってサービスを提供することで、よりユーザーの生活を便利にし、トラフィックによらない新たなビジネスを確立すると意気込んだ。

KDDI「スピード感が大切」

 KDDIの小野寺正社長は、冒頭で年始からパワードコムの社員がグループに加わったと紹介。新メンバーを「心から歓迎する」と話している。

 同氏が強調するのは、社会が大きく変化しているということ。「……政治の世界では、矢継ぎ早の構造改革への取り組み。経済に目を向けると、長く続いたデフレ局面から脱却しつつあり、企業業績も堅調に推移し、個人消費も伸び、株式市況も良い循環に入ってきた」。そんな中で、企業の敵対的買収など従来なら予測し得なかったことが起こるようになったと説く。

 通信業界も、FMC(Fixed Mobile Convergence)や通信と放送の融合など転換を迎えていると小野寺氏。必要なことは「より『的確な戦略』と変化に先んじる『スピード感』」だとして、社員にも皮膚感覚を研ぎ澄ませているように求めた。

ボーダフォン「反転は済んだ。今こそ攻勢のとき」

 ボーダフォンは津田志郎会長とビル・モロー社長がコメントを寄せた。2人は、昨年の年頭所感で“反転攻勢の年にする”とうたいあげたことを振り返り(2005年1月5日の記事参照)、「反転」の部分は実現できたと話す。

 「4月にモロー社長を迎え新経営体制が始動し、6月以降は純増に転ずることができた」(津田氏)。3G契約数が200万を突破したほか、累計契約数も1500万に回復しており、これからは攻勢を続ける時期だと社員を鼓舞する。

 ビル・モロー氏は「なぜ反転を実現できたか?」と質問されることがあるが、その場合「基本に立ち返ったから」と答えていると紹介。成功の要因は1つではなく、さまざまな分野で基本に立ち返り、ひとつずつクオリティーを向上させるしかないのだという。

 「当社の社員はどの会社より誇りがあり、決意に満ちており、チャレンジ精神にあふれる社員だと思う。…(中略)……過去にとらわれることなく、素晴らしい未来を自分達の手で切り拓くという気持ちを、オープンマインドで前進してほしい」

ウィルコム「ホップ、ステップ……三段跳びでなく無限跳びを」

 ウィルコムの八剱洋一郎社長は、昨年は「W-ZERO3」が好評を博したほか(2005年12月9日の記事参照)、過去最高加入者数を記録するなどの良いニュースがあったと振り返る。

 「ずいぶんと世の中の当社に対する評価も変化してきている」(同)。ウィルコムは“新しい何か”を提案する会社として認識されているのであり、2006年もW-SIMを利用したコアモジュール関連商品を次々とリリースするとうたう。

 八剱氏はまた、MNPで着実に基本料金、通話料の低廉化が進むだろうと予想。ウィルコムとしても気を引き締めつつ、さらなる成長を目指すとした。

 「昨年はいわば第一歩の年。三段跳びでいえば『ホップ』の段階。……(中略)……自信を持って『ステップ』の段階へ踏み出そう。付け加えれば当社は『三段跳び』を目指しているのではなく、『無限跳び』を目指している」

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