「やわらか戦車」って何だ? ネット発コンテンツの新潮流(2/2 ページ)

» 2006年02月27日 16時01分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 やわらか戦車を作るきっかけになったのは、戦争映画を見ていて「ああ、人間とは何とやわらかいのだろう」としみじみ感じた経験だという。

 「戦場では、人間がプツプツ死んでいく。戦争には行きたくないな、と思う。一方で戦車というのは『カンカンカンカン』と、硬いじゃないですか。戦車に対して『キミも柔らかくなったらどうか?』と考えた。『人の痛みを知れ』と。『装甲にあまえすぎてやいないか』という、そういう発想だ」

 なるほどと思うか、何のことやらさっぱり分からないかは人それぞれだが、いずれにせよラレコさんが具体的に志向したのは“いじめられ”キャラ。やわらか戦車の場合は、いじめられて困っている、泣いている、しかしそのかわいそうなところに「可愛らしさ」が出会う場所を探してキャラ制作しているのだという。

Photo “やわらかい”戦車――という、よく分からないアイデアはどこから出てきたのか。「人と違うズレた解釈をしてガッツポーズをするという、変な訓練をしたことがある」(ラレコさん)

ネットの伝播力を利用〜そしてその先へ

 ラレコさんのFlashアニメの特徴は、前述のとおり1人で完成させていること。そしてもう1つ、Web上で一般的なものになりつつあるブログや、有名素人サイトを通じて爆発的に広まっていることだ。このあたりは、インターネット社会のコンテンツらしい。

 「昔より伝播力はすごい。倍々ゲームで広まっていくから、動きが早い」。Webにはまた、Web以外のメディアではできないことをできる魅力があるとも話す。

 「Web以外だと、それなりのところ(制作会社)に発注して……と、お金がかかる。また企画面でも、哺乳類の、例えばウサギやネコのキャラクターなどが世間に広まっているなかで『昆虫の少女をやりたいんです』といっても通らないだろう」。このあたりがネットコンテンツの面白さだという。

 ただし、話の中からはネットコンテンツだという色眼鏡で見られるのは嬉しくないという思いも見え隠れする。「Flashがどうとか、素人コンテンツなのにすごいとか意識しないで見てもらいたい。Webで終わってはつまらないので、いろんな世代の人に見てもらって、ネット以外の世界にもはみ出していきたい」

 現在のところ、サクセスやライブドアを通じてラレコさんのもとに莫大な収入が発生しているわけではない。それでも、ラレコさんはコンテンツ更新のペースを上げることを心がけながら、Flashアニメを作り続けている。

 「やわらか戦車の『やわらか戦線』が拡大していく様子を、皆さんに目撃してほしいと思う」

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