ウィルコムの京セラ製PHS「WX310K」(2005年9月27日の記事参照)は、ユーザーがソフトウェアを更新し、ライセンスキーを入手することで、QRコードリーダー(無償)、Flashプレーヤー(525円)、ムービー(315円)など必要な機能を追加できる。
2月27日から、ミュージックプレーヤー機能のダウンロードが始まった。ライセンスキーの価格は840円だ。なお、ライセンスキーの購入や、ソフトの入手方法については別記事を参照してほしい(2月23日の記事参照)。
かつてDDIポケット(現ウィルコム)は、SDカードを利用した音楽配信サービス「SoundMarket」を提供していたが、PCからの音楽転送に対応するミュージックプレーヤー機能を備えたPHSはこれが初となる。今回は試作機を借りて、WX310Kの音楽プレーヤーとしての実力を試してみた。
WX310Kで再生可能な音楽ファイルは、OpenMG規格に対応したPC用ソフトを使ってminiSDに保存した、ATRAC3およびATRAC3plusデータとなる。PC用ソフトとしては、ジャストシステムの「BeatJam for WX310K」が提供される。現在BeatJam for WX310Kの対応OSは、Windows XP/2000/Meとなっており、Macintoshユーザーは利用できない。
本来OpenMG規格やATRAC3/ATRAC3plusは、MDやメモリースティックへ音楽ファイルを書き込んだり、ネットワークで音楽配信を行ったりするなどの目的のためにソニーが開発したものであり、WX310Kは、ATRAC3/ATRAC3plusファイルをminiSDに書き込める初のデバイスとなっている。
BeatJam for WX310Kは、MP3、WMA、WAV、ATRAC3、ATRAC3plusの各種ファイル形式に対応しているが、WX310Kに転送できるのは、ATRAC3またはATRAC3plusのみ。そのため、MP3、WMA、WAVはATRAC3/ATRAC3plusに変換して転送することになる。音楽CDがない場合でも、HDDの中にあるMP3やWMAなどからATRAC3/ATRAC3plusに変換できるのは便利だ。
BeatJamはWX310Kだけでなく、NetMDやPSP(内のメモリースティック)など各種の携帯デバイスに対応しているため、転送先のデバイスによって、適したコーデックとビットレートを選ぶようになっている。WX310Kの場合は「ATRAC AD」に設定すると、ATRAC3plusの64kbpsにセットされる(変更も可能)。ATRAC3plusはATRAC3よりも高い圧縮率を実現したファイル形式で、同社の「VAIO」シリーズやネットワークウォークマン、PSPなどに採用されている。
自分でエンコードした音楽ファイルだけでなく、「Mora」など、ATRAC3形式の楽曲を販売しているダウンロードサイトから楽曲を購入し、BeatJamを使ってWX310Kへ転送することもできる。なお、「着うたフル」のように、携帯電話単体でのダウンロード販売には対応していない。
自分の音楽CDをATRAC3/ATRAC3plusにエンコードした楽曲ファイルの場合は、PCの外に無制限に転送できるのが、Moraなどで購入した楽曲は転送回数が決まっている。1つの楽曲ファイルを複数のデバイスに転送すると、その後はPCの中でしか再生できなくなる。しかしデバイスを同じPCに接続し、曲データを再度PCに戻せばカウントは元に戻るので、「もうWX310Kでは聴かない」と思った曲は、miniSDカードをフォーマットしたりせず、BeatJam経由でPCに書き戻すようにしておこう。
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