数秒で感情を光に変える――NECの「言花」を試してみたCeBIT 2006

» 2006年03月10日 15時18分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 「言花」(KOTOHANA)はNECとNECデザイン、日本SGIが共同開発した「感情を光で表現する」デバイスだ(3月3日の記事参照)。フィーリング・コミュニケーターという名称が示すように、言花は話した言葉の感情を相手に色として伝えることができる。今回「CeBIT 2006」会場で展示されていたコンセプトモデルはマイク入力対応となっており、マイクに向かって話した言葉に対してその感情を判断、花形をしたLEDユニットが4色に変化するようになっていた。

Photo これが言花。花型をしたLEDユニット、デモのため用意された音声/感情認識ユニットとディスプレイ、そして音声入力マイクの3つのデバイスの組み合わせで構成されていた

 言花が判断できる感情は4種類。「興奮/excitement」「喜び/joy」「悲しみ/sadness」「平常/calm」を光で表現できる。それぞれの感情に対する光の色は興奮=赤、喜び=黄色、悲しみ=青、平常=緑。また感情の変化や強弱に応じて、LEDの光の度合いも変わるようになっている。なお音声入力がないとき(silence)はLEDは無色=白色点灯となる。

言花の対応する4つの感情。感情の強弱でLEDライトの光り方も強弱がつく仕組み

 ブースではスタッフによる実演が行われていた。マイクに向かって話しかけると、音声/感情認識ユニットのディスプレイ部分に「分析開始」と表示された後、数秒で言花の花のユニットのLEDの色が変化、認識ユニットのディスプレイにもそれに対応する感情が表示される。たとえば「楽しい」とマイクに向かって話しても、明るい声ならば言花は赤や黄色に変化するし、暗い声で話せば青に変化するわけだ。

マイクに向かって話すと認識ユニットのディスプレイ上に「分析開始」と表示された後、数秒で感情が表示される。これと同時に言花の花のユニットの色も変化する

 言花の感情認識エンジンは、日本SGIと同社関連企業アイ・ジー・アイが共同開発した感情認識エンジン「ST」を応用したもの。STは数百パターンもの人間の声と、それに対応する感情をサンプリングしており、マイク入力された声に対して最も近いパターンの感情を出力できる。その出力パターンをLEDの発色に対応させた。

 NEC宣伝部デザイングループによると言花の音声/感情認識率は現在6〜7割程度とのこと。しかし「この認識率は実際の人間の認識率に近いもの」という。

 言花の技術は応用として携帯端末への組み込みなどが想定されるが、ゲーム機器に組み込むことで感情をゲームコントロールに利用したり、ビジネス用途として本人認証の補佐などに利用するなど、応用できるアイデアは豊富にある三國マネージャーは話す。また言花本来のコンセプトである「言葉を聞くだけで人とのコミュニケーションを潤滑にする」デバイスとして、インテリア雑貨やアクセサリのような身の回りに自然に置けるようなアイテムとしての登場も期待されるだろう。

説明員に言花を利用してもらった。最初のうちは花は白色=平常だったが、カメラを向けると徐々に赤=興奮や、黄色=喜びに変化していた

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