“0円ケータイ”の使い方

» 2006年04月11日 09時00分 公開
[渡辺裕二,ITmedia]

 就職や新入学などで、この春からまったく新しい環境に身を置くことになった人も多いことだろう。環境が変われば、周囲の人間関係も変わる。人間関係が変わると、コミュニケーションツールであるケータイにも変化の波は訪れる。

 例えば携帯のキャリア。それまでの交友関係では、自分も含めてauユーザーばかりだったのが、新しい環境ではドコモユーザーが多数派になるようなこともあるだろう。そうなると、メールのやりとりをしても絵文字が伝わらなかったり、今まで必要と感じなかったテレビ電話が仲間うちで人気にもかかわらず、自分だけ使えなかったりと、不便に感じることも増えてくるかもしれない。

 また、キャリア独自のサービスが、環境の変化で魅力的に思えてくるケースもある。例えばGPS機能をフル活用するauの「EZナビウォーク」は、新たに営業職に就いた人が不慣れな道を歩くときなどに有効だ。他社製品にはGPS搭載端末自体が少なく、キャリアを替えるだけの魅力を感じる人も少なくないだろう。

半年前の最新機種でも「新規0円」

 では実際にキャリア替えも念頭に入れつつ、ケータイショップを覗いてみよう。すると、ずらりと並ぶ「新規1円」あるいは「新規0円」の文字に気付くはずだ。それらの端末をよく見ると、いずれもほんの3カ月から半年ほど前のモデルで、最新機種と比べても性能的に見劣りするものではない。

Photo ずらりとならぶ「新規0円」の端末

 ここ最近は新機種のリリースサイクルが短く、主力端末が目まぐるしく入れ替わる。最新機種を選ぶメリットはどこにあるのかというと、明確なのは“新サービスや新機能がいち早く利用できる”という点が挙げられる。ドコモの「プッシュトーク」やauの「Hello Messenger」ワンセグ放送の受信など、次々と提供される機能やサービスを利用したいか否か。とくにハイエンドモデルではそれが購入の動機になる。逆に、最新機種の機能やサービスにそれほど魅力を感じないなら、旧モデルとなった0円ケータイでも十分に満足できるということだ。

 具体例を挙げてみよう。3月下旬時点で調査した結果、ドコモでは「N701i」「N901iS」「P901iS」あたりが、auでは「W41S」「W32H」「W32T」「W31CA」「W33SA」「A1405PT」などが、ボーダフォンでは「803T」「703SHf」などのモデルが、登場から半年ほどしかたっていないにもかかわらず、新規契約の場合すべて0円か1円で販売されていた(首都圏の複数ショップ・ITmedia調べ)。

PhotoPhoto

 ハイエンド機、普及モデルともに、これらの端末はわりと最近まで店頭の目立つ場所に華々しく並べられ、立ち寄るユーザーが次々に手に取り眺めていたはずだ。おサイフケータイやアナログテレビ、フルブラウザ/PCサイトビューアーなど、まだまだ旬な機能を搭載したモデルも多く、決して古くさくはない。それが新規だと数千円で手に入るのである。このコストパフォーマンスの高さはかなり魅力的だろう。

0円ケータイと最新機種の性能差はわずか

 これらの0円ケータイは、最新機種と比べても、それほど性能差があるわけではない。

 まずはドコモの901iSシリーズだが、最新の902iシリーズと違う点は「プッシュトーク」と「iチャネル」に対応していないこと。細かな点でいえば902iは全体的に操作のレスポンスが向上しているのだが、ここではそういった目に見えない部分は割愛していくことにする。

 auでは、春モデルとして最初に登場したW41Sがすでに0円になっているショップがある。W41Sは最新モデルであり、何も言うことはない。W3xシリーズについては、一番大きいのはやはり「LISMO」(au Listen Mobile Service)に未対応な点。それ以外は端末による機能差はあれど、W4xシリーズとの格差はほとんどない。

 ボーダフォンの端末も、ユーザーインタフェースが大きく変わっている場合はあるものの、機能面では最新モデルの903や804シリーズと比べても明確な差はない。むしろ803Tなどは、1月に新色が追加されたばかりのバリバリの最新機種だ。ボーダフォンは定額サービスなども充実しているので、新規0円で契約するなら、ある意味最もお得なキャリアかもしれない。

他キャリアのサービスを気軽に“お試し”

 0円ケータイが魅力的なのは分かった。しかし、番号ポータビリティもまだ実施されていない今、キャリアを乗り換えるには少々抵抗があるし、機種変更じゃ0円にならない……それが現実的な意見だろう。

 そこで提案したいのが“お試し期間としての新規契約”という方法だ。いきなりキャリアを変更するのではなく、まずは他キャリア端末を買い増しし、じっくりサービスや機能を試してみる。新しいキャリアが気に入らなかったら、解約して元のキャリアを使い続ければいいし、気に入れば完全に乗り換えるまでの間に新番号や新しいメールアドレスの通知をすればいい。

 様子の分からないキャリアを利用するのに、最新機種だと新規でも2万〜3万円近くかかるが、値崩れした0円ケータイなら事務手数料やオプション契約料などの4000〜5000円程度で済む。

 なお、0円ケータイを購入する際、契約時に長期割引プランやオプションサービスへの加入が事実上義務づけられている場合がある点には注意したい。長期割引プランは設定期間内に解約すると違約金を取られるので、いくら“お試し”とはいってもかなり前向きにキャリア替えをするつもりがない限り、解約時に手痛い出費を伴うことになる。

 とはいえ、わずかな初期費用で最新機種とほぼ同等の性能とサービスが受けられる0円ケータイは、やはり魅力的であることは確か。キャリア替えの必要を感じたら、まずは店頭で「新規0円」の値札をチェックしてみてはいかがだろうか?

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