ボーダフォンのサムスン電子製端末「804SS」は、WordやExcel、PDFなどのファイル閲覧に対応している。ただし外部メモリを備えていないため、PCと携帯を接続してファイルを取り込む必要がある。第5回目のレビューでは、PC連係機能をチェックする。
→「804SS」レビュー(1):ユーザーインタフェース
→「804SS」レビュー(2):基本スペックと外観
→「804SS」レビュー(3):AV機能
→「804SS」レビュー(4):日本語入力
→「804SS」レビュー(5):Bluetooth機能
804SSは「Picsel File Viewer」(2005年7月の記事参照)を搭載し、Word、Excel、PowerPoint、PDFなどのファイルを携帯電話で閲覧できる。ただし804SSは外部メモリをサポートしていないため、PCと携帯電話を接続してデータを端末に転送する必要がある。
端末側の接続用コネクタは、充電用途を兼ねた独自形状のもの。USBケーブル接続時のマスストレージクラスに対応していないため、付属ソフトの「PC Studio」が、PCとのデータ連携では重要な位置付けになる。音楽や動画ファイルを転送する際にも、PC Studioを利用する。
PC Studioは、804SS内のファイルの読み込み/書き出し機能に加え、Outlookとのアドレス帳、スケジュール、ToDo、メモの同期に対応する。アドレス帳はOutlook Expressとの同期も行え、Outlookを持っていない人でも利用可能だ。ほかにも静止画や動画、音楽ファイルの編集、804SSで再生可能な形式への変換、804SSへの転送にも対応する。また、PC-StudioでPCと接続している最中でも、音声通話の発着信やメール、Web機能を利用できる点もなかなか便利だ。
音楽や動画の再生を楽しむには必須ともいえるファイル転送は、メニューから「ファイルの管理」を選択して「Phone Explorer」を起動して行う。804SS内の任意のフォルダを選択し、ファイルをドロップすればファイルを転送できる。フォルダを作成したり、ファイル/フォルダ名の変更もPCから自由に行える。ExplorerだけでなくiTunesからも直接ファイルをドラッグ&ドロップできるので、アルバム単位での転送や検索後の一覧からコピーするといった作業も容易だ。
ただしUSB 1.1接続のため、転送速度は決して速くはない。ちょっとしたビジネスファイルの転送ならストレスは感じることもないが、メガバイト単位の音楽ファイルなどではそれ相当の時間がかかる。128Kbpsでエンコードした約4Mバイトの音楽ファイルの転送のはちょうど1分かかった。アルバム1枚分(10曲程度)を転送するには、最低でも10分はかかると思ったほうがよさそうだ。
PC Studioには「連絡先などの管理」という機能が搭載されているが、機能を選択できない状態になっていて利用できない。これは現状での仕様のようだ。そこでOutlookからアドレス帳を転送してみると、こちらは一見正常に動作するものの、なぜかフリガナを同期できなかった。804SS側のアドレス帳ではすべてが「※」のタブに並ぶという状態になってしまい、フリガナを804SSで再入力しないと使いものにならなくなってしまった。
筆者はOutlookの同期機能をあてにして購入時にアドレス帳の転送を行わなかったため、後日ボーダフォンショップに出向いてアドレス帳を移動することになった。
PC Studioは、既に何回かアップデートされているが、この事象については改善されておらず、ボーダフォンは「対応は未定」としている。そのため現状では、アドレス帳へのバックアップ手段がUSIMカードへの保存だけということになる。これから804SSを購入する人は十分注意してほしい。
なお市販のアドレス帳編集ソフトはアーカスコンピュータの「ケータイ・リンク11」が対応している。現状は、アドレス帳の読み出し/書き出しのみの対応となるが、アドレス帳以外の機能はPC Studioを使えるので、困ることもないだろう。
ケーブルは804SS付属のUSBケーブルが利用でき、最も安価なバージョン(5端末で利用可能)なら1575円とリーズナブルだ。現状はパッケージか、同社のダウンロード販売(ただし決済は振り込みのみ)からの入手となるが、カード決済に対応するベクターからのダウンロード販売も予定しているようだ。
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