追い求めたのは“本物”の質感──素材ケータイ「SH902iS」&「DOLCE SL」シャープに聞く「SH902iS」&「DOLCE SL」(デザイン編)(2/2 ページ)

» 2006年06月15日 16時01分 公開
[園部修,ITmedia]
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アルミが美しく見えるようこだわったSH902iS

 SH902iSのアルミパネルは、2005年5月に発表された「SH901iS」を思い起こす。ただ、SH902iSでは、よりアルミの素材感を前面に押し出したデザインになっている。SH901iSでは、ブルーストリームがヘアライン加工、ブラックコスモがヘアライン加工+ドット、シルバーサンドはサンドブラスト加工+ドットで、ホワイトアイスは塗装されていたが、SH902iSでは各色ともアルマイト染色のみで色づけしており、余分な装飾はない。アルマイト染色は、アルミの表面に硬度、耐磨耗性、耐食性が高い薄い酸化膜を形成し、その被膜に着色するもので、塗装と比べて細かな凹凸も非常にきれいに表現できるという特徴がある。

 島津氏は「シャインシルバーとコーラルピンクでは、量産レベルの製品としては世界で初めて『クロスライン』加工を採用した点がポイント」だという。クロスライン加工とは、アルミの表面に十字にクロスした線を刻む加工方法。ヘアライン加工とは異なり、まるでシルクのような柔らかな印象を与える。

 一方アストロブラックとプロミネンスレッドでは、「あえてハードで力強いイメージを表現するため」(島津氏)いかにもアルミらしいヘアライン加工を採用した。こちらはSH901iSのヘアラインよりもさらに溝が深い。さらにプロミネンスレッドとアストロブラックでも彫りの深さを変えており、アストロブラックの方がより凹凸がはっきりしている。

Photo 通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部副参事の木戸貴之氏

 アルミパネルの加工は、どんなに設備が近代化されていても、まだ完全に機械に頼り切れるレベルには達しておらず、結局職人の手加工に近い手間がかかるという。「SH902iSのアルミパネルの美しい質感は、製造の現場に通い、職人に意志を伝える時間や手間を惜しまなかったからこそ生まれたもの」だと島津氏は振り返る。人の手で加工したようなハンドメイド感もうまく出せているのではないかという。

 なお、SH901iSのアルミパネルがへこみやすいといわれた(2005年7月5日の記事参照)件について通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 副参事の木戸貴之氏は「SH902iSではアルミの厚さを0.5ミリから0.8ミリに変更し、アルミそのものの素材もより強いものに変えている。表面を軽く湾曲させたことから、強度も格段に高くなっているはず。おそらく指でへこませることはまず無理だろう」と自信を見せた。SH902iSは有機ELサブディスプレイを搭載することから、背面に小さなiモードマークがあるだけだったSH901iSよりも背面への衝撃に強いのではないかとの話もあった。

PhotoPhoto SH902iSのアルミパネル。厚さを0.8ミリに増し、より強度の高いアルミ素材を利用しているほか、表面を湾曲させるなどの工夫を凝らしてへこみにくくしている

SH902iSとDOLCE SLは2モデルで1ラインアップ

 木戸氏は「今回発表したSH902iSとDOLCE SLは、2モデルで1つのラインアップだと考えてほしい」と話す。この2つのモデルは、それぞれ外装に金属と革を利用し、本物感を重視して開発されたシャープの“デザインモデル”。ユーザーの好みや生活スタイルに合わせて、アルミか革か選んでもらいたいという。

 「今後も素材にこだわったモデルを開発したい」というのがシャープの意向。具体的にどんな素材を検討しているのかは教えてもらえなかったが、これからもいろいろな素材を使ったモデル展開でユーザーを楽しませてくれそうだ。

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