ポップでシンプルなケータイが欲しかった――開発担当者に聞く「nico.」 (1/2 ページ)

» 2006年06月27日 19時48分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 ウィルコムのPHSモジュール「W-SIM」対応端末として登場した「nico.(ニコ)」。丸みを帯びて小ぶりな形状とポップな色使いは、大人も子どもも使ってみたくなるようなデザインだ。

 どんなコンセプトで、どこにこだわったのか――nico.のプロダクトマネージャーで、デザインも担当した、ウィルコムの堀田峰布子氏に聞いた。

大人も子どもも使いたくなる端末を

photo ウィルコムの堀田峰布子氏

 親子で、友人で、恋人どうしで、もっとコミュニケーションを楽しめる端末を。大切な人とnice communicationを……nico.の企画は、そういう思いから始まった。

 「(nico.の企画を)進めるにあたって頭にあったのは、『コミュニケーションを楽しむ』とか『ポップでしかもシンプルなケータイ』という意識でした。意外とそういう端末ってないな、と思ったんです」(堀田氏)

 nico.は音声通話とメールに特化しており、Webブラウザもカメラも付いていない。機能としては非常にシンプルで、同じW-SIM端末でも、例えば「W-ZERO3」の対極にある存在だ。

 nico.のターゲット層は大きく3つに分けられる。1つは、音声定額プランに入っていて、通話とメールだけできる、シンプルな電話が欲しい人。2つ目は、W-SIM端末を複数台所有するユーザーだ。「W-ZERO3を持っているユーザーで、シンプルな音声端末が欲しいと思っている人はきっといるはず。そういう人なら、Webブラウザもない、通話とメールだけという割り切った端末を選んでくれるだろうと」(ウィルコム)

 そしてもう1つのターゲットが子どもだ。ウィルコムでは子ども向けに、通話先を3カ所に限定し、防犯ブザーや位置確認サービスなどにも対応している「安心だフォン」(2005年8月24日の記事参照)というPHSを出している。nico.はこの安心だフォンのリプレースとしての役割も期待されており、そのために、通話先を3カ所に限定する料金プランや、位置情報サービスに対応している。

 ウィルコム網を使った子ども向けPHSといえば「キッズケータイpapipo!」(3月16日の記事参照)を思い出すが、ウィルコムでは「papipo!は“子どもが欲しいケータイ”。nico.は“親が子どもに買い与えたいケータイ”で、棲み分けはできているはず」と説明する。

 「親が子どもに携帯を買い与えるにあたって心配するのは、たいてい2つの理由です。1つは、無制限につかって電話代が高くなりすぎないかということ。そしてもう1つは、出会い系などの有害なサイトにアクセスしないかというもの。でもウィルコムは音声定額で使えるし、nico.はWebブラウザがないので、有害なサイトへアクセスのしようがない(笑)」(堀田氏)

“ポップでシンプル”って、意外とない

 nico.のデザインコンセプトは、“つい触りたくなるようなもの”“おいしそうなもの”。nico.をデザインするに当たり、堀田氏の頭に浮かんでいたのは、マーブルチョコや梱包材の“ぷちぷち”だったという。nico.はブルー、グリーン、イエロー、ピンク、チョコの5色展開で、いずれも白とのツートンカラー。確かに、マーブルチョコの色合いに似ている。

 堀田氏はウィルコムに入社する前、あるメーカーでGSM携帯のデザインを担当していた。「海外だと、面白いデザインの携帯電話がいろいろあるのに、日本の携帯は、銀色で二つ折りで……というものがほとんど」と感じていたという。「子どもが持ってもいいし、女の子の目にもかわいく見える。お父さんがブルーを持っていても違和感がないし、あと、チョコは大人に似合う色かなと思っています」

Photo nico.は、角を落としたデザインであることもあって手になじむ。外形寸法は幅45×高さ125×厚み14.4ミリと非常にコンパクトで、子供でも握れる大きさだ
Photo nico.のボタンやカラーはマーブルチョコレートをイメージしたという。ちなみに、堀田氏のイチオシの色は“チョコ”

PhotoPhoto nico.の5色を並べたところ。カラーは左からチョコ、ピンク、グリーン、ブルー、イエロー。背面には円形のアクセントがあり、ウィルコムロゴが彫り込んである

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