イー・モバイルが目指すモバイルブロードバンドとはワイヤレスジャパン2006

» 2006年07月20日 19時18分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo イー・モバイル代表取締役社長 兼 COOの種野晴夫氏

 イー・モバイルの代表取締役社長 兼 COOの種野晴夫氏が19日、「ワイヤレスジャパン2006」にて基調講演を行った。免許割り当てまでの取り組みと、資金調達状況やサービス開始スケジュールの報告、HSDPAやHSUPAを使ったモバイルブロードバンドの展望や、動画や画像を中心としたコンテンツ展開など自社サービスについての今後を話した。

 まず種野氏は、親会社のイー・アクセスが提供しているADSL事業と、イー・モバイルが開始する移動体通信事業の類似点について言及。ADSLにおけるコロケーション費用の低下やダークファイバーの解放などの要素が、移動体通信では1.7GHz帯周波数の新規割り当てや番号ポータビリティなどに相当するとし、参入機会が似たような状況で形成されたと解説した。また、固定電話網におけるブロードバンドへのニーズと同様に、モバイル環境においてもブロードバンド需要が高まっていると話した。

 イー・アクセスが2003年12月に行った2GHz帯の実験免許申請から、1.7GHz帯の全国バンドが2005年11月に割り当てられるまでの取り組みなどを振り返ったほか、資金調達状況や今後の事業展開についてのスケジュールについても発言した。

photo イー・モバイルが予定する事業展開スケジュール

 事業資金については、株式発行により1432億円の調達を果たしたほか、引き受け幹事銀行団との間で総額2200億円の借入枠を設定(2006年4月の記事参照)。総額3600億円の事業資金を確保したと報告し、「これまでに4000億円近い資金が集まった。これは前代未聞の話で、いまだ事業が始まっていない、ネットワークもない、お客さんも一人もいない、売り上げも1円もないという中でこれだけのお金を集めたのは珍しい」(種野氏)と感想を述べた。

 2007年3月に東名阪エリアでのデータ通信サービス、2008年3月に音声サービスを開始するというスケジュールを公表。最終的に2011年から2012年にかけて加入者500万を達成するとし、「免許も降りた、お金も集まった、あとは売るだけ。まずは東名阪を中心にネットワークを敷設してサービスを始め、順次全国に拡大していきたい」(同氏)と今後の意気込みを語った。

photo コンテンツの方向性

 また、HSDPAやHSUPAを採用した同社のサービスが携帯電話のトレンドを先取りするもので、通話だけでなく、モバイル環境であってもブロードバンドインターネット接続やビデオコンテンツ放送が利用できるサービスであるとし、将来的に自社ネットワークをIP化することでシステムの効率化を行い、動画配信などコンテンツのさらなるリッチ化を実現するとまとめた。

 さらに、低価格なだけでは消費者に受け入れられないという見通しを述べ、ワンセグ搭載端末の投入を検討していることや、モバイルブロードバンドによるオンデマンド配信や、海外からのコンテンツ調達も必要との見通しを示した。しかし、どのような端末やコンテンツを用意するかについては現在審査中であり、公表できないとした。

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