携帯が通訳に、リアル世界の検索ツールに──NECブースワイヤレスジャパン2006

» 2006年07月21日 22時01分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 NECは、日本初のHSDPA端末「N902iX HIGH-SPEED」(7月19日の記事参照)や、702ixシリーズの夏モデル「N702iS」(7月4日の記事参照)などの新端末を披露すると共に、携帯電話への搭載を見込んだ各種新技術をアピールした。

Photo ブースのイチオシは、HSDPA端末「N902iX HIGH-SPEED」
Photo 佐藤オオキ氏デザインの「N702iS」は、今夏発売予定

Photo 手ブレに負けない「N902iS」
Photo さまざまなニーズや年齢層に合わせてどんな端末を投入してるのかを示す展示も

 中でもユニークなのは、携帯電話に通訳機能を搭載しようという、NECエレクトロニクスの“通訳エンジン”。端末に向かって日本語を話すと、端末内の音声認識エンジンと翻訳エンジンが起動して英語に変換。端末のスピーカーから翻訳された英語の音声が流れるというものだ。英語から日本語への通訳も可能だといい、携帯を通訳代わりに使えるようになる。「電波が届かないと使えない──というものでは、海外で使うのに敷居が高い。(この通訳エンジンは)携帯の中だけで動くコンパクトなエンジンとして開発した」(NEC説明員)

PhotoPhoto サービスイメージとデモの様子。翻訳用の辞書は外部メモリに格納される。「観光、ビジネスなど用途に合わせて辞書を入れ替えて使うイメージ」(説明員)。デモでは日本語を英語に翻訳してディスプレイに結果を表示するデモを行っていた。翻訳の速度は、「今から帰ります」程度の短いフレーズなら、5秒程度で結果が表示された

 現行のハイエンド端末と同等のCPU上で通訳ソフトウェアのエンジンを動かすことが可能で、DSPなど特別なハードウェアを付加することなく通訳機能を搭載できるのが大きな特徴。同社はこれまでも、さまざまな展示会でこの機能を披露しているが、「現行端末で動くスペックに落とし込めた」(NEC)点が新しいという。

 今後の課題は技術面よりも、「どのようなアプリに仕上げるか」だと説明員。「ニーズを探りながら、どんな利用シーンでどんなサービスを提供できるかを探るのが課題」(NEC)としている。

グリグリ動く3Dで、街中を検索──ローカルサーチ

 街中のさまざまな情報をケータイで検索できるようにしよう──。こんな発想でNECマグナスコミュニケーションズが提案するのが、「3D空間検索 ローカルサーチ」だ。

PhotoPhoto サービスイメージ

Photo デモは電子コンパスを搭載したauのW41Sで展開。アプリはBREWだけでなくJava版も開発中だという。3D地図は端末の動きに追従してグリグリ動く。そのなめらかさは一見の価値あり
Photo 端末の向きを検知して進行方向の情報のみを取得するため、通信時のデータ量が抑えられる

 街中を歩いていて、周辺にどんな商業施設があるかを知りたいときにアプリを起動すると、周辺のマップが3Dで表示される。3軸/6軸の電子コンパスを搭載した端末なら、端末を向けた方向に3D地図が追従して3D地図を表示するので、より直観的に自分のいる位置を把握できる。

 アプリに用意された検索機能を使えば、付近の商業施設が近い順に表示され、その場所を鳥瞰図で確認可能。ビルの看板をクリックすると、その詳細が表示され、さらに詳しい情報をWeb経由で取得することも可能だ。

Photo 起動画面(左)と、周辺の地図が3Dで表示される様子(中)。付近の商業施設の検索結果は、自分がいる位置から近い順に表示される
Photo 施設の場所は鳥瞰で確認できる(左)。看板をクリックすると、セール情報などを表示(中)。デパートやスーパーなどの店舗内検索にも応用できるという(右)

 このサービスの特徴について説明員は「情報を検索するのにURLを入力したり、QRコードを読み込んだりする必要がない。端末を対象物に向けてアプリを起動すれば簡単に情報を取得できる」と説明。道案内や周辺検索、デパート内の店舗情報案内などのサービスを提供する上で役立つ技術だと説明した。

 3D空間検索 ローカルサーチは、米GeoVector Corporation(以下、GeoVector)が開発した「GViDポインティング・プラットフォーム」と、ネットディメンジョンの3Dグラフィックエンジンを使って実現している。GeoVectorは(1)携帯を対象物にポインティングし、必要な情報を取得する(2)位置情報と方向を元に、実際の風景に仮想の画像を追加する(3)端末の動きを検知してそれに反応する といった技術の特許を持つ企業。今回の展示でNECマグナスコミュニケーションズは、GViDポインティング・プラットフォームとネットディメンジョンのグラフィックエンジンを組み合わせて実現する具体的なサービスイメージを提案し、キャリアやコンテンツプロバイダへの採用を目指すとしている。

Photo シャープのSH902iSに採用された、携帯向け長時間音楽再生LSIも展示。アプリケーションプロセッサとデジタルベースバンド部分を切り離して処理を行うことで、50時間という長時間の音楽再生を可能にした。デコードはソフトウェア処理で行っている

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