NECは、日本初のHSDPA端末「N902iX HIGH-SPEED」(7月19日の記事参照)や、702ixシリーズの夏モデル「N702iS」(7月4日の記事参照)などの新端末を披露すると共に、携帯電話への搭載を見込んだ各種新技術をアピールした。
中でもユニークなのは、携帯電話に通訳機能を搭載しようという、NECエレクトロニクスの“通訳エンジン”。端末に向かって日本語を話すと、端末内の音声認識エンジンと翻訳エンジンが起動して英語に変換。端末のスピーカーから翻訳された英語の音声が流れるというものだ。英語から日本語への通訳も可能だといい、携帯を通訳代わりに使えるようになる。「電波が届かないと使えない──というものでは、海外で使うのに敷居が高い。(この通訳エンジンは)携帯の中だけで動くコンパクトなエンジンとして開発した」(NEC説明員)
現行のハイエンド端末と同等のCPU上で通訳ソフトウェアのエンジンを動かすことが可能で、DSPなど特別なハードウェアを付加することなく通訳機能を搭載できるのが大きな特徴。同社はこれまでも、さまざまな展示会でこの機能を披露しているが、「現行端末で動くスペックに落とし込めた」(NEC)点が新しいという。
今後の課題は技術面よりも、「どのようなアプリに仕上げるか」だと説明員。「ニーズを探りながら、どんな利用シーンでどんなサービスを提供できるかを探るのが課題」(NEC)としている。
街中のさまざまな情報をケータイで検索できるようにしよう──。こんな発想でNECマグナスコミュニケーションズが提案するのが、「3D空間検索 ローカルサーチ」だ。
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街中を歩いていて、周辺にどんな商業施設があるかを知りたいときにアプリを起動すると、周辺のマップが3Dで表示される。3軸/6軸の電子コンパスを搭載した端末なら、端末を向けた方向に3D地図が追従して3D地図を表示するので、より直観的に自分のいる位置を把握できる。
アプリに用意された検索機能を使えば、付近の商業施設が近い順に表示され、その場所を鳥瞰図で確認可能。ビルの看板をクリックすると、その詳細が表示され、さらに詳しい情報をWeb経由で取得することも可能だ。
このサービスの特徴について説明員は「情報を検索するのにURLを入力したり、QRコードを読み込んだりする必要がない。端末を対象物に向けてアプリを起動すれば簡単に情報を取得できる」と説明。道案内や周辺検索、デパート内の店舗情報案内などのサービスを提供する上で役立つ技術だと説明した。
3D空間検索 ローカルサーチは、米GeoVector Corporation(以下、GeoVector)が開発した「GViDポインティング・プラットフォーム」と、ネットディメンジョンの3Dグラフィックエンジンを使って実現している。GeoVectorは(1)携帯を対象物にポインティングし、必要な情報を取得する(2)位置情報と方向を元に、実際の風景に仮想の画像を追加する(3)端末の動きを検知してそれに反応する といった技術の特許を持つ企業。今回の展示でNECマグナスコミュニケーションズは、GViDポインティング・プラットフォームとネットディメンジョンのグラフィックエンジンを組み合わせて実現する具体的なサービスイメージを提案し、キャリアやコンテンツプロバイダへの採用を目指すとしている。
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