10月24日、番号ポータビリティ制度が始まる。
番号ポータビリティは、携帯加入者が別の事業者に契約を切り替えても電話番号をそのまま継続して利用できる制度。契約数で2391万9400(2006年7月現在。ツーカーを除く 以下同)/累計シェアで25.6%のユーザーをかかえるKDDIは、契約数約5186万3600/累計シェア55.6%を誇るNTTドコモの牙城を崩すべく、番号ポータビリティを大きなビジネスチャンスととらえている(2006年6月30日の記事参照)。
KDDIは8月23日、店頭スタッフによる接客・商談コンテスト「au CS AWARD 2006 東京大会」を開催した。au CS AWARDは、国内を11の地区(計12回)に分けて開催され、店頭スタッフの販売力や接客マナー向上、接客スキルの共有化を目的とした全国規模の接客コンテストである。今年は6月7日の中国大会を皮切りに、8月9日の九州大会まですでに9の地区大会が行われており、今回の東京大会は東京地区の158店舗を対象に、その中から10人を選抜。商品の知識や印象、説明の仕方などを中心に、接客スキルを競った。
携帯を購入・契約・買い換えなどを行う場合、ユーザーの多くが直に接するのが街のauショップとなる。今まで他キャリアの携帯を使用していたユーザーであれば、auショップを初めて利用する場合も多いだろう。そのときauショップ、そして店頭スタッフはauの“顔”となる。第一印象もそこで決まってしまい、接客の仕方次第では“乗り換え”ユーザーを獲得するチャンスを逃してしまうことにもなりかねない。
2004年から始まった同コンテストは、2005年9月の開催に続き、今回で3回目。販売の最前線で勤務する彼らは、接客コンテストでどのような顔を見せるのか。
コンテストに挑む10人にはいくつかのシチュエーションに沿った来店客が設定され、店頭と同じように接客を行うことで審査を受ける。客のプロフィールは例えば、「20代会社員男性 婚約中/現ドコモユーザー」「20代歯科助手女性未婚/現ドコモユーザー」「40代会社員男性 既婚子ども二人/現ボーダフォンユーザー」「30代建設作業員男性 既婚/現ドコモユーザー」「40代専業主婦女性 子ども二人/現ボーダフォンユーザー」など、非常に具体的に設定されていた。
ちなみに、今回用意された設定はすべて他キャリアの携帯を使用するユーザーだった。そのユーザーに対して、どのように効果的な──「それならばキャリア変更しようかな」と思わせる接客を行えるかが審査の大きなポイントであり、10月24日に始まる番号ポータビリティを明確に意識した設定といえる。
接客の第一歩は客の現在の状況を巧みに違和感なく聞き出し、要望に沿った提案をいかに行えるかということにある。競争相手がはっきりしている日本の携帯業界では、自社のサービス内容はもちろん、他社が用意する料金プランや割り引きサービスはどのような特徴があるか、そして具体的にいくらなのかといったことも把握しておかなければならない。
例えばドコモの特徴的な割り引きサービスの1つ「パケ・ホーダイ」に加入済みの現ドコモユーザーに対しては、「auにも同じような、いえ、さらにオトクなEZweb・Eメール通信向けの割り引きサービスがあります。それはどんなに使っても上限4410円の“ダブル定額ライト”あるいは“ダブル定額”です。あまり使わなかった月であっても4095円が毎月かかってしまうパケ・ホーダイと違って、ダブル定額ライトは使用した通信量に応じて1050円から4410円までの間で料金が変動するのが特徴です。それほど使わなかった月なら1050円で済みますし、たくさん使っても上限が設定されているので安心なのです」といった具合で案内する。
さすがに今回コンテストに出場した10名は選ばれた精鋭だけあり、要望を「聞き出す」技術も巧みである。客がふと目にした/手に取った物(端末のモックアップやポスター・パンフレットの一部など)を見逃さずにそこから話を始めたり、服装や様子などからどのくらい話す時間があるかを判別し、最低限伝えるべきことを時間内に伝えるといったテクニックが披露された。
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