グエムル −漢江の怪物−「お父さん、聞こえる?」Mobile&Movie 第228回

» 2006年09月22日 14時50分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名グエムル −漢江の怪物−
監督ポン・ジュノ
制作年・製作国2006年韓国作品


 今回ご紹介するのは、韓国映画史上空前の大ヒットなった『グエムル −漢江の怪物−』。韓国では、すでに4人に1人がこの作品を見ているそうです。ソウル市内を流れる漢江(ハンガン)に突如現われた怪物と家族の勇気の物語。携帯電話が、非常に重要な鍵を握ります。以下、内容に触れますので、これから見る予定の方は注意して下さい。

 漢江の河川敷で、売店を営むパク一家。カンドゥ(ソン・ガンホ)は、いつも居眠りしながら店番をするようなだらしのない男。そんなカンドゥにとっての生きがいは、中学生の娘(ヒョンソ)。毎日、娘の帰宅を待ちながら、ぼんやりと青空の下に輝く川の流れを見ていました。

 今日は娘の授業参観でしたが、店番のため行けなかったカンドゥは申し訳なく思っていました。ヒョンソの姿が目に入ると、川原を走って迎えに行くカンドゥ。

 「電話したけど、なぜ出なかったんだ?」

 ヒョンソに授業参観の様子を聞こうと、携帯電話に連絡していたカンドゥ。

 「古くて電源が入らない」

 とむくれるヒョンソ。そんな娘にカンドゥは

 「新しい携帯を買ってやろう」

 と言いますが、ヒョンソは父がそんなお金を持っていないのは知っています。それよりも大事なのは、カンドゥの妹ナムジュ(ペ・ドゥナ)のアーチェリー全国大会。テレビで中継される試合を、売店の中で、家族揃って見ることに。

 店の外は天気もよく、漢江の周辺にはのんびりと過ごす人々が大勢いました。そんな穏やかな光景が一瞬で、恐ろしいパニック状態に……。

 はじまりは、川の中を動く大きな奇妙な物体。珍しがって携帯電話のカメラで写真を撮っていた人たちが、その怪物の姿をはっきりと見たとたん、悲鳴をあげて逃げ出したのです。怪物はそんな人間たちをあざ笑うかのように、川原を追いかけてきました。そして、抵抗する人間を容赦なく叩き潰し、食い殺していったのです。カンドゥはヒョンソとともに逃げ出しましたが、一瞬の隙で怪物はヒョンソをさらってしまいました。カンドゥは慌てて怪物の後を追いますが、川の中に潜り、怪物の姿は消えてしまいました。

 怪物が去った後、川原にはその威力の凄まじさが残されていました。多くの死傷者が出て、合同葬儀が行なわれることに。ナミル(パク・ヘイル)やヒボン(ピョン・ヒボン)、ナムジュまでパク一家が揃い、ヒョンソの死を嘆きます。ナミルはヒョンソを守れなかったカンドゥを批難。カンドゥは、大声をあげて泣くしか術はありませんでした。

 混乱する葬儀の最中、当局が突然やってきて、怪物が現われた時に川原にいた者はすべて病院で隔離するとの通達を出します。訳もわからぬまま、病院に連れて来られたカンドゥ。そんな時、カンドゥの携帯電話が鳴り出します。

 「お父さん、聞こえる?」

 驚くカンドゥ。

 「ヒョンソだけど、私の声聞こえる?」

 「お前、生きてたのか!」

 カンドゥは、ヒョンソの無事を知り安心します。しかし、携帯はすぐに切れてしまいました。大きな下水溝の中にいて、出られないことはわかったカンドゥ。漢江のどこかで生きているはず、と娘を救出する決心をします。これを家族に伝え、一家総出で、ヒョンソを助けに行くことに。

 漢江は大きな川。下水溝も無数に張り巡らされています。そんな中、ヒョンソの居場所を突き止める鍵となったのが、携帯電話の位置確認。ナミルが命懸けで調べたヒョンソの居場所は、ナムジュへ携帯メールで伝えられました。パク一家は、ヒョンソを救うことができたのでしょうか? 怪物との対決は手に汗握るスペクタクルです。

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