NokiaはGPS機能やおサイフケータイをどう考えているのか――Nseries責任者に聞く (1/2 ページ)

» 2006年09月29日 23時59分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 9月26日にリリースされた2ウェイスライド携帯「N95」は、Nokia初のHSDPA端末だ。またN95はマルチメディア機能にフォーカスしたNseriesの最新作として、500万画素カメラ、動画撮影、音楽再生などハイスペックな機能に加え、GPSを内蔵しており、世界100カ所以上で利用できるナビゲーションシステムも備えている(9月27日の記事参照)

 Nokiaは現在、大きく3つのラインの製品を開発、市場へ投入している。1つはカメラや音楽プレイヤーなど、マルチメディア機能を強化した3G端末のNseries、1つは企業用端末として企業サーバへのアクセスやセキュリティ機能を重視し、テキスト入力機能を強化した「Eseries」、そしてもう1つがエントリー〜ミッドレンジの価格帯で、2G端末の「モバイルフォン」(製品型番が4桁の数字のシリーズ。日本市場では発売していない)である。

 今回は、シンガポールにあるNokiaのアジア太平洋地域本社で、Nseriesの発売責任者を勤めている白男川亜子氏にインタビュー。NokiaはNseriesで何を目指すのか、N95の話題を中心に聞いてゆこう。

Nokiaマルチメディア・コンピューターアジア太平洋地域ディレクターの白男川亜子氏

NokiaがGPSナビ機能に取り組む理由

――これまでマルチメディア機能に特化してきたNseriesが、「N95」でGPS機能を搭載したことは、新しい方向性のように見えます。NokiaがGPS機能に注力し始めた理由は何でしょうか。

白男川氏:GPSでユーザーが自分の位置を測定し、自分が今いる場所で欲しい情報を得るということは、1つのマルチメディア機能といえます。またHSDPA、W-CDMA、無線LANなど、複数の電波アクセス機能を端末に搭載するということを、Nokiaはこれまでも行ってきたわけですが、衛星に接続して位置情報を得るというのも、その一環という位置付けです。

――Nokiaはドイツの地図情報サービス企業gate5を買収していますが(9月1日の記事参照)、gate5の技術はどのように生かされているのでしょうか?

白男川氏:さきほどN95でナビゲーションのデモを行いましたが、あの地図やナビゲーションは、gate5のソリューションを利用してNokiaが開発し、Series60上で上手く動くようにしたものです。

――N95のナビゲーションデモでは、高速道路を走行中に、スピードメーターのある場所を音声で教える、といったことも行っていました。屋根のあるところではGPSの精度を保つのが難しいと思いますが、歩行者だけでなく車内での利用もターゲットとしているのでしょうか。

白男川氏:基本的には両方がターゲットです。ただ、車内で使用した場合には、(屋根がある車の中の)環境によってGPSの精度が変わってくることはあります。そういう意味では、N95は車内での利用には最適化されていないということはありますが、アプリケーションとしては、歩行者が利用する場合も車内で利用する場合も違いはありません。

――N95以外でもナビ機能は使えるのでしょうか。

白男川氏:外付けのGPSモジュールを販売しています。そのモジュールを接続し、アプリをダウンロードすることによって、他のSeries60搭載機種でも利用できるようになります。

――日本でもN95のナビサービスを展開する予定ですか?

白男川氏:日本市場でもNseriesのラインアップを強化したいと考えているので検討は行っていますが、日本にN95を投入するかどうかはまだ未定です。またナビ機能をどこの国でサービス提供するかについても、これからの発表になります。

――日本には同種のサービスとして「EZナビウォーク」がありますが、EZナビウォークのように、電車の乗換情報などもフォローするのでしょうか。

白男川氏:グローバルで用意する地図情報だけでなく、各国ローカルのコンテンツプロバイダとも、提携してやっていく予定です。そのために、仕様を公開し、オープンプラットフォームにしています。電車の乗換などについては、国によってユーザーニーズが違うので、これから展開を考える部分になります。

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