ドコモのQWERTYキーボード付きスマートフォン「hTc Z」が、一般向けにも販売されることになった(10月2日の記事参照)。価格は7万円超と少々高価だが、IEEE802.11b/gの無線LANやBluetooth、W-CDMA/GSMネットワークへの対応など注目すべき点は多い。
ロードテストの第1回では、Windows Mobileを搭載したQWERTYキーボード付き端末「W-ZERO3」(WS003SH)と外観を比較した。
サイズはスペックを見ると分かるとおり、hTc Zの方が一回り小さい。W-ZERO3は、手で持って通話するにはちょっと大きく感じるが(でも筆者は普段これで電話をしている)、hTc Zならさほど違和感はない。「電話として使いやすい大きさ」という観点ではhTc Zの方が優位に立つ。
サイズ(幅×高さ×厚み) | 重さ | |
---|---|---|
hTc Z | 58×112.5×22ミリ | 約176グラム |
W-ZERO3(WS003SH) | 70×130×26ミリ | 約220グラム |
ただhTc Zは本体サイズが小さい分、ディスプレイも小さい。一般的な音声通話用の携帯電話に比べると大きく、液晶の視野角や再現性もまずまずだが、W-ZERO3の3.7インチVGA液晶と比べると、hTc Zの2.8インチQVGA液晶は明らかに見劣りする。
ボタン類はW-ZERO3とは大きく異なり、設計ポリシーの違いを感じさせるところだ。W-ZERO3は本体下部にボタンを集中させており、側面に最小限のボタンのみを配置。ボタンの数自体も少ない。
一方のhTc Zは、本体下部のボタンこそW-ZERO3より少ないが、本体上部や側面にもボタンを配置している。本体下部のボタンはW-ZERO3よりスペースが限られているうえにデザイン的な問題もあり、少々押しづらい印象。特にソフトキーと通話/終話ボタンに挟まれたWindowsキーとOKキーは押し間違えやすかった。
ただhTc Zは、W-ZERO3にはないジョグホイールや電源ボタンを搭載しており、これが閉じた状態で使う際の利便性を高めている。
ジョグホイールは回転させると画面がスクロールするほか、ホイールの押し込みが決定操作になる。その下に配置される「OK」ボタンは、押すとアプリケーションの閉じるボタンをタップするのと同じ役割を果たすため、ジョグでアプリケーションを選択→ジョグを押し込んで起動→ジョグを回転させて画面を閲覧→OKボタンでアプリケーションを閉じる――という一連の操作をスムーズに行える。
hTc Zは電源ボタンを押すと画面が消え、タッチパネルや(電源ボタン以外の)ボタン操作を受け付けなくなるので、キーロックとして利用できる。W-ZERO3も初期状態では、画面の縦横表示切り替えボタンを長押しすることでキーロックをかけられるが、hTc Zの電源ボタンは軽く押すだけでよく、その上画面も消えてバッテリー消費を抑えられる。
スライド式のキーボードは、同じQWERTY配列ながらレイアウトは異なる。W-ZERO3は打ちやすさに配慮したキー配置の工夫が見られるが、hTc Zはほぼ同じサイズのキーが整然と並んでいる。
ボタン自体の大きさは実はhTc Zの方が大きいが、キーピッチやキーストローク、ボタンの出っ張り具合などのバランスがうまく取れているため、打ちやすさはW-ZERO3の方が上だと感じる。また、hTc ZはPCと比べて配列に特殊な部分があるなど、ちょっと慣れが必要な印象を受ける。
hTc Zを使っていて個人的に便利だと感じたのは、キーボード上にWindowsキーや左右のソフトキーがある点と、無線LANのON/OFFがキーボードから操作できる点。また、W-ZERO3の「Fn」キーに相当する「・」キーを押してキーボードに割り当てられたテンキーを押すと、待受画面からすぐ電話番号入力画面に移動するのも便利だ(W-ZERO3は、いったん通話ボタンを押して入力画面を表示させないと操作できなかった)。
全体的な操作性の優劣はつけがたいが、キーボードを閉じた状態で、Webサイトの閲覧などをする場合には、ジョグホイールのあるhTc Zが明らかに有利。ボタンの多さも使いやすさに貢献しており、本体が小さいため通話もしやすい。大画面でのデータ閲覧やキーボード入力のしやすさはW-ZERO3が上という感じだった。
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