「デザインのau」が目指す携帯の未来KDDI&トータルプロデューサーの坂井氏に聞く(1/2 ページ)

» 2006年10月18日 08時00分 公開
[太田百合子,ITmedia]

 番号ポータビリティを目前に発表された各社の2006年秋冬モデルは、今まで以上にそれぞれ他社との差別化が強く打ち出されたものとなった。

 今回の秋冬モデルでKDDIが打ち出したのは、「デザインと音楽」という2本柱。au design projectだけでなく、今後は一般モデルについてもさらなるデザインの底上げを図っていく考えだ。そのトータルプロデューサーとして抜てきされたウォーターデザインスコープ代表の坂井直樹氏とKDDIの開発担当者に、同社が目指す携帯のデザインとその狙いを聞いた。

photo 写真左からKDDI au商品企画本部 プロダクト企画部の砂原哲氏、同水野有紀氏、ウォーターデザインスコープ代表 坂井直樹氏、同プロダクト開発担当 嶋田耕介氏

 日産自動車「Be-1」「PAO」、オリンパス「O-Product」などを生み出した坂井直樹氏。デザインはもちろん、マーケティングに基づくブランディングやコンセプトプランニングまでを手がけ、「コンセプター」という肩書きを持つ。KDDI au商品企画本部 プロダクト企画部の砂原哲氏は坂井氏に白羽の矢を立てた理由を、「メーカーのデザイナーとの細かいディレクションだけでなく、その上流のコンセプトワークを、例えば“来年の夏のラインアップ”といった全体のコンセプトづくりも含めて、トータルにお願いしたいと考えたとき、やってもらえるのは坂井さんしかいないと思った」と語る。

 KDDIではこれまでにもau design projectを通じて、デザイナーとのコラボレーションによる多くのコンセプト端末を発表してきた。これが「デザインのau」というブランドイメージづくりに、大きく貢献したことは間違いない。

 その一方で「au design projectとは別に、一般モデルについても明確なコンセプトワークに基づきながらデザインのクオリティアップと多様化を図っていきたいという思いがずっとあった。しかし正直なところ、そこまでやりきれていなかった」と砂原氏は過去を振り返る。坂井氏を迎えたことで、ようやくその第一歩が踏み出せた。

 自身でも過去に「HEXAGON」や「MACHINA」(2005年11月1日の記事参照)などを手がけた坂井氏は、このようなコンセプトモデル、およびau design projectを「モーターショウのコンセプトカー」に例える。この会社はどんなことを考え、今後どのような方向に進むのか明示的に広報でき、ユーザー側としても“こんなデザインのものが本当に出るかもしれない”といった期待も生まれるなど、例えとして非常に分かりやすい。

photo 坂井氏自身は、すべてのキャリアの端末を使い分けながら常時所持する携帯ヘビーユーザーでもある

 「キャリアとしてのメッセージを伝えるという意味では、au design projectは今までにない画期的な取り組みだと思うし、それだけに実験的なこともやらせてもらえた。デザイナーにとってはすごくラッキーな仕事です。あれほど自由度の高い仕事は、実は世の中にほとんどないですから」

 「しかしau design projectは、あくまでもオルタナティブなものですよね。一方で、今取り組んでいるのは市場で流通している一般的な製品をどうデザインしていくかということ。それだけに、au design projectとはまた違う意味で、非常にやりがいがあります」(坂井氏)

 その第1弾としてできあがったのが、坂井氏自らデザインを手がけた東芝製端末「DRAPE」だ。「一般モデルのデザインを底上げした、最初の象徴的なモデル」と水野氏も述べるように、DRAPEはKDDIとしては初めてのテレビ電話対応端末となるハイエンド機「W47T」をベースとしている。スペックに若干の違いはあるものの、DRAPEは広い意味でこのW47Tのデザインバリエーションともいえる位置付けになっている。

 「W47Tと同じプラットフォームという条件で、W47Tとの距離が開きすぎないデザインをお願いしました。もっと尖ったこともできたかもしれませんが、あえてやらなかった。au design projectとはそこが大きく違います」(砂原氏)

 坂井氏もこれに応え「今、流通している製品の中に置いたとき、少し目立つけど、ぶっ飛んで際立たないことを意識した」という。

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