6つの予想外――ソフトバンク孫社長の秘策 (1/2 ページ)

» 2006年10月24日 04時16分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 ソフトバンクモバイルは、番号ポータビリティ(MNP)開始前夜の10月23日、緊急記者会見を行い、新料金プラン「ゴールドプラン」「オレンジプラン」「ブループラン」を発表した(10月23日の記事参照)

 新料金の目玉である“ゴールドプラン”に「新スーパーボーナス」「ソフトバンク大創業キャンペーン」を合わせた、新しい料金施策の名前は“予想外割”。ソフトバンクユーザー同士であれば月額2880円※で音声通話とSMSが無料になるという、確かに“予想外”な新料金プランだった。自社網内音声定額といえばウィルコムがPHSで先駆けているが(2005年3月15日の記事参照)、携帯電話ではこれが初めて。また、2880円という価格はウィルコムの定額プランより20円安い。

※2880円になるのは、10月26日〜2007年1月15日のキャンペーン期間中に申し込みをした場合

 発表会自体も、23日当日に告知され、内容は全く明かされず、発表会終盤まで資料一つ配られないというサプライズなものだった。孫社長は新料金プランで何を目指しているのか? “予想外”な発表会の様子をまとめた。

Yahoo!BBがやったことを携帯の世界に持ち込む

 24日から開始するMNP。孫氏は冒頭で「90%くらいのユーザーは動かないだろう」という調査結果や、「ユーザーが移るとすれば、auが躍進し、ソフトバンクが苦戦する」と予想する声が多いことを挙げた。

 しかし、と続けたのは“年内に隠し球2つを含めて15機種”とする秋冬モデルのラインアップの豊富さだ(9月28日の記事参照)。ソフトバンクの後に秋冬モデルを発表したドコモについては(10月12日の記事参照)「ドコモさんも(冬モデルを)たくさん発表されていたようだが、あれは来年3月までのものを含んでの機種数。年内に出るのは8機種だけ。うちが一番多い」と牽制した。

 端末ラインアップのほか、基地局を前倒しで増強中であること、Y!ボタンで各種コンテンツに簡単・無料でアクセスできることを挙げ「よりつながる、より面白くなる、より格好良くなる……この3つは達成した。あとの1つは価格だ。今日はその価格について発表する」(孫氏)

 「かつてインターネット後進国だった日本に低価格を武器に殴り込み、Yahoo!BBは日本のインターネットを変えた」という内容のスライドを上映した。「同じことをソフトバンクは携帯の世界でもやる、次は携帯だ」と孫社長は話す。

photophoto ソフトバンクのYahoo!BBによって、日本のインターネットは変わった、と訴えるスライド

photophoto インターネットの次は、携帯料金に挑戦する、とスライドでアピール

 ドコモ、auの料金体系について「他社はいろいろな割引をやっている。しかし割引の前に、そもそもの基本料金が複雑怪奇だ。毎日携帯のことを考えている我々のような専門家でもよく分からない。販売の現場にいるスタッフにも分からない。それがお客様に分かるわけがない」とバッサリ。「そういう複雑怪奇で、しかも高い携帯料金について、今日、私たちなりの答えを出す」といって発表したのが“ドコモの割引済み料金から200円引く”「ブループラン」と、“auの割引済み料金から200円引く”「オレンジプラン」だ(いずれも税込で210円)。

 au、ドコモの割引や利用期間をすべて引き継いだ上で、そこから必ず200円引くこと、そしてauやドコモが追従・対抗して値下げをした場合には、24時間以内にソフトバンクもさらに値下げをする、と“約束”した(10月23日の記事参照)

 ユーザーがMNPを利用しようという気持ちを牽制する大きな要素の1つが、「他社へ移行すると、既契約の割引サービスが移行できない」という課題だ。オレンジ/ブループランは、これを解消することが狙い。「他社のすべての組み合わせに対応する。他社の料金プランで計算し、各種割引などをすべて適応して、そこから200円引かせていただく。他社よりソフトバンクのほうが高いということは決してないことになる」(孫氏)

photo au(オレンジ)、ドコモ(青)の割引プランや料金プランを示す。
photo au、ドコモの割引済み料金から200円引く……というオレンジ/ブループラン。会場には驚きの声と笑い声が広がった
photo 他社より高いことはない、と約束
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