マイクロソフトは12月19日から20日まで、丸の内オアゾでビジネスパーソンをターゲットにWindows Mobile搭載端末の発売1周年記念イベント「ウィンドウズケータイ 1st Anniversary」を開催している。これに先立ち、同社は報道関係者向けに、国内初のWindows Mobile搭載端末「W-ZERO3」が登場してからの1年とWindows Mobileのこれからについて説明を行った。
説明会にはマイクロソフト執行役常務ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏が登壇して、市場動向やWindows Mobileのメリットなどを解説した。
佐分利氏は「世界市場を見たとき、デスクトップPCはもちろん、携帯電話やノートPCよりも、一般に“スマートフォン”と呼ばれることが多いコンバージ端末の成長が著しい」とその成長性の高さをアピール。この分野の出荷成長率が、2006年から2010年にかけて約34.1%の伸びを見せるというGartner DataquestとIDCによる予測値を引用し、Windows Mobile搭載端末の今後に普及も期待を寄せた。
「2001年頃からキャリア向けにトライアル出荷はしていたが、初の製品が市場に投入されたのは2002年。仏OrangeのSPVという端末だった。その後の4年間で、Windows Mobileを搭載した端末は、50社の端末メーカーから出荷され、115の携帯電話事業者に採用された。今ではこれらの事業者の営業地域が世界の携帯電話加入者の約65%をカバーしている」(佐分利氏)
一方、日本におけるWindows Mobile端末の歩みは、まだ始まったばかりだ。海外市場と比較すると、RIMのBlackBerryのような法人向けの携帯電話サービスがなかったこともあって、立ち上がりは約3年ほど遅れていると佐分利氏は話す。今後は携帯キャリア各社もこの法人向け分野に力を入れる姿勢を見せていることから、大きな成長が見込んでいる。
「2005年12月14日にウィルコムから国内初の“ウィンドウズケータイ”(Windows Mobile搭載端末)『W-ZERO3』発売されてから約1年。なんとか3つのキャリアからW-ZERO3(WS003SH)、W-ZERO3(WS004SH)、W-ZERO3[es](WS007SH)、hTc Z、Z01HTという5機種のWindows Mobile端末がリリースされるまでにこぎ着けた。2007年は、最低10機種のラインアップを狙いたい。詳細は話せないが、スライド式のQWERTYキーボードを備えたものだけでなく、表面にキーがあるような端末や、より多機能な端末などを、多彩なフォームファクターで展開していきたいと考えている」(佐分利氏)
また佐分利氏は「今年のキーワードは3×3」と話し、今後3年間で、Windows Mobileの出荷台数を毎年3倍にしていくという目標を明らかにした。「Windows関連事業は、現在7つの事業部に分かれているが、その中で(Windows Mobileを手がける)Mobile and Embedded部門は一番小さい部署。1年前に初めて黒字を出したが、着実に事業化しつつある」
マイクロソフトはかねてより、Windows Mobileが、デスクトップPC向けのWindowsに似たユーザーインタフェースを持つだけでなく、ExcelやWordといったビジネスシーンでよく利用されるOfficeソフトのファイルなどを容易に閲覧できるOffice Mobileを搭載していたり、データをPCと簡単に同期できたりすることを挙げ、その優位性をアピールしてきた。特に仕事で携帯電話などのモバイルデバイスを扱うユーザーとの親和性が高い点をウリにしている。
それに加えて管理のしやすさやセキュリティの高さも訴求し、ビジネスシーンでの利用を促進したい考えだ。丸の内でイベントを開催するのも、ビジネスパーソンに対してWindows Mobileをもっと知ってもらいたいと考えたからだという。
佐分利氏は「日本国内におよそ3000万人いる、情報を使って仕事をする“インフォメーションワーカー”のうち、約1000万人はモバイルインフォメーションワーカー」と考えている。今後もキャリアやISV(独立系ソフトウェアベンダー)、IHV(独立系ハードウェアベンダー)などと協力して、これらのユーザーにWindows Mobileを普及させたい考えだ。
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