ワンセグを“スマート”に楽しむためのスライドボディ──開発者に聞く「W51SA」(1/2 ページ)

» 2007年02月01日 11時39分 公開
[青山祐介,ITmedia]
Photo 三洋電機 パーソナルモバイルグループ テレコムカンパニー 国内携帯電話ビジネスユニット 国内商品部 商品企画二課の横田希氏

 先ごろ発表されたauの2007年春モデルのラインアップでは、これまで最新モデルのうち2〜3機種のみだったワンセグ対応機を、一気に10機種中7機種に拡充した。これだけワンセグ対応機が増えてくると、単にワンセグを搭載するだけではウリにならず、いかに他社のモデルと差別化するかが重要になる。

 三洋電機ではワンセグケータイの前モデル「W43SA」を“ワンセグ入門機”と位置づけ、長時間再生や長時間録画を前面に押し出していたが、最新モデル「W51SA」では、ワンセグを手軽に見られるというコンセプトを継承しつつ、使いやすさという観点から新たにスライド型のボディを選んだという。そんな、“スライド・ワンセグケータイ”のコンセプトを、三洋電機 パーソナルモバイルグループ テレコムカンパニー 国内携帯電話ビジネスユニット 国内商品部 商品企画二課の横田希氏に聞いた。

スマートな開閉のためにバネ式の機構を採用

 ケータイでワンセグを見るときに限らず、折りたたみ型の端末では、画面を見るためには必ず“開く”という動作が必要になる。また回転2軸型端末でディスプレイを表にして見るにしても、“開いて回して閉じる”という動作がある。一方、スライド型のW51SAの場合は、ワンセグの起動が[アプリ]キーの長押しに割り当てられており、簡単にワンセグを起動できる。端末を開くことなくすぐにテレビを見ることができるわけだ。

 「カバンからW51SAを取り出し、[アプリ]キーを押して、“さあ、ワンセグを見よう”とスムーズに視聴に入れます。また、回転2軸型だといろいろな機能がサイドキーに割り当てられていることが多く、見ている間の操作があまり直感的でない。“どっちが音量でどっちがチャンネルのキーだっただろう?”とか迷うことになります。また、意外と使う画面サイズの切り替えができなかったりもしますね。スライドを採用することで、すべての操作が十字キーとソフトキー周りで済んでしまう。これがスライド式の利点だと考えています」(横田氏)

 この「スマートスライドスタイル」というコンセプトは、デザインや機構へのこだわりにもつながっている。例えば、スライドの機構1つを取ってみても、“スマート”を実現するために、今回は「バネ式」を採用している。2005年9月に発表されたスライド式の「W31SA II」では、押し上げた状態でカチッとロックするタイプだったが、今回のW51SAでは簡単に開閉できるバネ式となっている。

 「スライドタイプにはバネ式もあるしボタン式もあります。今回、どういう機構を採用するか検討する過程で、ボタン式は開くときの音に高級感を感じられない、スムーズさが足りないという結論になりました。また、ボタン式ではスライドを押し上げるバネが強いので、片手では端末を閉じにくいケースもあります。片手で閉じられないのも“スマート”ではないと判断しました。スムーズに使うためにはバネ式のほうが使いやすいということで、こちらを採用したわけです」(横田氏)

 このスマートさを生かした機能の1つとして、スライドを上げれば通話が始まる、下げれば通話が終わる、メールを見ているときにスライドを上げると返信メールの入力状態になる、といったスライド連動の機能も取り入れた。

Photo 「スマートスライドスタイル」というコンセプトでデザインされたW51SA。バネ式のスライド機構を採用しており、片手で容易に開閉できる

カーソルを斜めにも操作しやすい「マルチファンクションキー」

 “スライド”という動きの方向性は、デザインコンセプトにも少なからず影響を与えている。W51SAのデザインコンセプトは逆説という意味の「PARADOX(パラドックス)」。ディスプレイ周りにクリア樹脂を重ねて継ぎ目をなくしたフルフラットパネル構造に対して、マルチファンクションキー(十字キー)周りはゲーム機の操作系のようなメカニカルな緻密さを表現。また、スライド機構を生かした、ボディサイドの層を重ねたようなデザインと、全体がフラットな面で構成されたかたまり感といった、相反するものが共存する。

 20〜30代の男性をターゲットにして、「グラスグリーン」「アイボリーホワイト」「モダンブラック」という3色を設定。いずれも“層”が重なっているような印象の帯がボディサイドを一周している。特に「アイボリーホワイト」では、そこにボルドー色を差して上質な雰囲気を醸し出しているのが特徴だ。

PhotoPhoto ボディカラーは「グラスグリーン」「アイボリーホワイト」「モダンブラック」の3色。裏と表で表情が異なる

 いずれのカラーも、表側は二色成型によるクリア層があるため、とても艶やかに見える。その一方で、背面はどれもマットな仕上げになっており、表裏でも“PARADOX”な表情となっている。また、スライドを開けるとグレーのダイヤルキー面が現れることで、また違った表情を見せてくれる。

 「二色成型パネルは、全体の色を合わせるのに苦労しました。クリアパネルを挟むことで、色の出方が違ったり、色身が違って見えたりするんです。でも、この成型方法のため、例えばグラスグリーンは光源によって違った表情も見せてくれます。室内の蛍光灯下では緑に見えますし、太陽光下で見ると黄色く見えるんです。そのため、カタログ作るときにもどの色に合わせるか苦労したくらいです」(横田氏)

 さらに二色成型による“透明感”が強調されているのがマルチファンクションキーと呼ぶ十字キー周り。ゲームのコントローラーのようなスタイルのこのキーは、上下左右だけでなく、斜め方向への操作性が高いという。これは2007年春モデルに共通で機能拡張されたPCサイトビューアーのポインタ操作にも使いやすく、効果が高い。

 マルチファンクションキーの周りには、7つのキーが凝縮されている。スライド式の数少ないデメリットとして、本体をコンパクトにしようとすると、この辺のキーがどうしても小さくなってしまうことが挙げられる。W51SAでは特に頻繁に使う[クリア]キーの大きさにこだわった。とはいえ、キーの大きさを確保するために端末が大きくなってしまわないよう、左右中央から少し右にオフセットすることで、その両立を実現したのだという。

PhotoPhoto 十字キーは「マルチファンクションキー」と名付けられている。ゲーム機の操作系のようなキーで、斜め方向の操作もしやすい。側面にはストライプが入っており、層を重ねたようなデザインとなっている
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