2006年に最も売れたNTTドコモの端末は「P902i」だった。
P902iは、2005年冬商戦向けモデル「FOMA 902iシリーズ」として2005年12月に発売されたパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の端末。ワイヤレス音楽再生が行えるAVプロファイル対応のBluetoothをはじめ、“ヒカリ”という遊び要素も取り入れたカスタムジャケット、ワンプッシュオープン機構、FeliCa機能の搭載を特徴とする。
本機は2006年1月の第1週から11月の第3週まで、連続47週でランクインした。その人気は、後継モデルの「P902iS」が登場した6月以降もほとんど衰えず、さらに次のモデル「P903i」が登場する11月まで続いた。7月の第4週に獲得した2位に限らず、9月の第2週から4週まで連続で1位となるなど、新モデルの登場により逆に人気が再燃する動きが見られたのが特徴だ。
2006年は“携帯で音楽”が流行し、一般化し始めた年だった。
P902iは、音楽CDから取り込んだ楽曲を転送して携帯で再生できるSD-Audioに対応し、それをBluetoothを利用してワイヤレス再生できる機能を持つ。当時auに先行された印象のあった“携帯で音楽”という利用スタイルをドコモ端末で牽引した端末といえ、以降ドコモ端末も、着うたフル対応機やナップスター対応機など、音楽機能を強化した機種が大幅に拡充された。
また、ドコモ端末では採用例が少ないBluetoothを搭載し、昨今、携帯に望まれる機能として欠かせないものとなったFeliCaにも対応。当時としては薄型の厚さ18.3ミリを実現した薄型折りたたみボディなども含め、機能やデザイン性を含めたバランスのよさがユーザーの評価につながったようだ。
さらに、後継モデルのP902iSやP903iが、P902iの特徴の多くを継承──悪く言うとそれほど変わらないと判断されたと思われること、新モデルの発売に伴い本機の価格が下がったことで、より“お得感”が出たこと、そして最近、ドコモの足かせにもなっている在庫多寡(2006年10月の記事参照)なども、P902iが長期に渡って売れた(販売できた)理由の1つとして考えられる。
新機種発売後も併行して旧機種が安価に販売され、販売数を伸ばした端末には、年間2位のシャープ製「SH902i」(年間2位/下半期9位)や、NEC製の「N902i」(年間4位/下半期6位)、「N901iS」(年間9位)、三菱電機製の「D902i」(年間6位)なども当てはまる。
メーカー別に見ると、上半期にトップだったSH902iをはじめ「SH902iS」や「SH903i」などを投入したシャープが好調だった。同社は2006年度上期(4月から9月)の総出荷台数でトップも獲得している(2006年10月の記事参照)。
2006年のシャープ製端末は、新機種の発売早々に週間ランキングで首位に立つ動きが特徴で、他メーカーと比べて早期に新機種へ売れ筋が移る傾向が見られた。そのため機種別の販売数でカウントする年間のランキングでは首位を逃した結果になったが、下半期のランキングでは2006年10月発売のSH903iが、903iシリーズで唯一3位にランクインしている。
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