最強女性チームが磨き上げた“オンナゴコロ”の神髄開発チームに聞く「W51P」(1/3 ページ)

» 2007年03月01日 19時27分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 5年ぶりのau参入、初のWIN機となるパナソニック モバイル製の「W51P」。ボディカラーは“モダン”を表現するカランサブラウン、“シンプル”を表現するクレマチスホワイト、“キュート”を表現するルピナスピンクの3色を用意する

 2007年春モデルで、C3003P(2002年3月)以来、約5年ぶりにau向け端末を投入するパナソニック モバイルコミュニケーションズ。その復活第1弾となるのが「W51P」だ。

 W51Pは左右非対称の背面パネルとスクエアなデザインを特徴とする折りたたみ型端末。開けやすいワンプッシュオープン機構と間接照明のように浮かび上がる「ソフトイルミネーションパネル」による“ヒカリ”の演出など、同社製端末で評価を得るおなじみの機能を盛り込んでいる。2.6インチのワイド液晶と207万画素カメラ、EZ FeliCa、PCサイトビューアー、microSDカードスロットなどを搭載し、EZチャンネルプラス、EZニュースフラッシュ、デコレーションメールなどのサービスに対応する。

 約5年ぶりのau端末──パナソニック モバイルは、どんな思いでこのW51Pを投入するのか、どんな狙いがあるのか。同社W51Pの開発チームに話を聞いた


photo W51Pの開発チーム。左から、デザイン担当のパナソニック デザイン社 北山壮平氏、コンテンツ担当のパナソニック デザイン社 宮形春花氏、企画担当の商品企画グループ 大西恵加氏、商品機構設計グループの南賢治氏、プロジェクトマネージャーの細井茂氏。同端末のテーマとなる「2面性/左右非対称」は、開発チームに強く浸透していたことがこの並びからも伺える

“女性がバッグから携帯を出したシーン”──を考えたとき

photo  W51Pのカタログから

 「現au端末のラインアップを考え、パナソニック モバイルらしく、かつユーザーニーズがあるテーマは何か。かなり長期間、議論を重ねました」(プロジェクトマネージャーの細井茂氏)

 同社にとって約5年ぶりのau向け端末を、どのようなテーマで開発するかを考えた。まずパナソニック モバイルらしさを出しつつ、マーケティング調査を重ねていくことで“昨今、ニーズが高まっている”と浮かび上がった部分にターゲットを当てることが決まった。それは、PCやAV機器全般で鬼門とさえ言われることもある「女性向け」。“流行を取り入れつつ自分のスタイルを楽しむ20代から30代の女性”が想定ユーザーとなっている

 「街で見かける働くきれいな女性が、ふとバッグから携帯を出す──このワンシーンに、何か違和感があると感じていました」(商品企画担当の大西恵加氏)

 W51Pの企画全般を担当する大西氏は街で見かけた女性に対し、見た目も身のこなしも“オトナ”なのに、出した携帯が「ちょっと浮いている」と感じることが幾度かあった。女性のバッグには化粧品を含めたポーチや財布、手帳のほか、眼鏡・コンタクトレンズケーズやティシューケースなどさまざまな小物が入っている。もちろんその1つに携帯もある。ただし、携帯単体のデザインが悪いのかというとそうではない。

 言葉ではっきりと「ここがおかしい」と表せるものではないが、このワンシーンの中にある携帯がやはり何か違った。「そんな女性に似合う携帯にしたい」。感性的だがその後の企画を決定付けるテーマがこの“何か違う”違和感から生まれた。

 そんな女性に似合う携帯とは一体何だ──。端末のデザインを担当したパナソニック デザイン社の北山壮平氏はこう述べる。

 「女性向けとそれ以外を考えたとき、まず、デザインの手法がずいぶん違うと思いました。女性のカバンの中に入っているものというと、例えばコンパクトなどの化粧品があります。これも工業製品ですが、携帯とは違うテイストのデザインとなっています。これはなぜなのだろう──」(北山氏)

 「既存の携帯も、もちろん単体の商品としてデザインでより価値が上がることがあります。しかしそれが洋服と合うか、バッグと合うかからはじまり、トータルで合うのかまで考えるとどうなのか。コンセプトワークの段階から苦労と疑問の連続でした」(同上)

photo  

 ターゲットと想定する女性らにマーケティング調査のためのグループインタビューを行うと、男性ではおそらく気にならない部分──例えば「携帯カメラのレンズはなぜ黒いの?」「白いボディなら、レンズも全部白いほうがいい」「この余計な部品はなに?(レンズ周りの枠やマクロ切り替えレバーなど)」という意見があった。しかもほぼ全員がそれにうなずいていた。

 携帯カメラのレンズ周りにはメッキや金属のパーツが施されることも多い。それは“カメラ”を強調し、かつ性能も訴求できるようデザインの一部として表現されている。それはそれで大変すばらしい。

 「しかし、日用品として考える女性の観点で見ると、それは無駄、むしろ邪魔とさえ思われることも改めて知りました。男性の私からすると、思いがけないところを女性は見て、感じている──改めて“オンナゴコロ”の奥深さに直面しました」(北山氏)


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