“感じる”携帯を目指して──「MEDIA SKIN」へ注がれた愛情吉岡徳仁氏インタビュー(1/3 ページ)

» 2007年03月20日 10時30分 公開
[太田百合子,ITmedia]
photo 「MEDIA SKIN」を生み出した吉岡徳仁氏。「Honey-pop」がニューヨーク近代美術館やヴィトラ・デザイン・ミュージアムのコレクションに選定されるなど、日本を代表するデザイナーのひとり。「MEDIA SKIN」のコンセプトモデルは、「INFOBAR」「talby」「neon」とともに、ニューヨーク近代美術館のコレクションに選定されている

 ISSEY MIYAKE、A-POCなどのショップデザインや空間デザインから、“Honey-pop”などの椅子・照明といったインテリア、プロダクトデザインまで、幅広い分野で作品を発表している吉岡徳仁氏。そのデザインは実験的、独創的、革新的といった言葉で評されることが多いが、同氏が手がけたauの「MEDIA SKIN」もまた、機能性とデザイン性を共に妥協せずに兼ね備えた、革新的な携帯電話と言える。

 auの2007年春モデルでは最薄となる13.1ミリの薄型なボディに、ワンセグ、EZ FeliCa、LISMOビデオクリップも視聴可能な音楽・動画再生機能などの最新の機能を詰め込み、ディスプレイに2007年2月現在で世界初となるQVGA(320×240ピクセル)/26万色表示対応の2.4インチ有機ELを採用。独特の“触感”を持つ、特殊な塗装が施されたボディを正面から見ると、約半分がディスプレイ、約半分がフリップを備えたダイヤルキー部分という絶妙のバランスが保たれている。

 このMEDIA SKINはどんな考えで、どんな経緯で誕生したのか。本機を生み出した吉岡徳人氏に聞いた。


photophoto au design project 第6弾モデル「MEDIA SKIN」。赤いゴムのような液体から引き上げられ“第2の皮膚”をまとう──そのフォルムには、人に優しく、使っている人を美しく引き立たせる思いが込められている

最も人に近いプロダクトにふさわしい、“感じる”携帯電話

photo 「携帯は話しているときのスタイルがとても重要だと思う」。ストレート+フリップスタイルで本体のデザインだけでなく、使う人全体のフォルムの美しさを目指した

 「デザインを考えるときには、今、世の中にないのはどういうものか、次の時代に求められるのはどういうものかといったことを同時に考えていくんですね。そうやって世の中を見渡してみると、ほとんどの携帯電話が折りたたみかストレート、そのほかスライド式などもありますが、ほぼ形が決まってしまっていました。それで、今ないものということを考えたときに行き着いたのが、この形でした。」

 フリップ式のストレートボディを採用したのは、ボディサイズが小さくても無理のないスタイルで話せるようにという考えのためだった。フリップを開くことで、耳を当てる受話スピーカー部分から口元まで届く、一定の“長さ”をキープできる。

 「電話が小さくなると“片方の手で口を覆う”ように話すことが多く、どうしても背中が丸まってしまう傾向があります。僕は携帯電話というのは“話しているときのスタイルがとても重要”だと思っています。自然に構えられるこのスタイルにしたのもこのためです。」

 「次に、これからの時代に求められるものをauの担当者の方たちとも相談して、大きなサイズのディスプレイにしました。といってもコンセプトモデルを制作したときには、まだワンセグというところまでは考えていなかったですけどね(笑)。」

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