今買うならどっち?――「D01NE」「D01NX」徹底比較(前編)「D01NE」「D01NX」 レビュー(4/4 ページ)

» 2007年05月10日 21時17分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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今買うならどっち?

 PCカードタイプのD01NEと、CFカードタイプのD01NX。ノートPC用のデータ通信カードとして、どちらを買うか悩んでいる人も多いだろう。端末購入価格が大幅にディスカウントされる「データプランいちねん」や「データプランにねん」で契約するケースがほとんどで、購入後に買い換えにくいのも製品選びを慎重にさせる。

 CFカードスロットしかない場合や、PCカードスロット+CFカードスロット構成のノートPCでPCカード側を空けておきたい場合、今後PDAでも使いたい場合はD01NXを選択することになるだろう。

photo CFスロットしかない「VAIO Type U」でもD01NXなら使える。さすがに出っ張りが気になるが、モバイル環境でもYouTubeやGyaOといった動画配信サービスを使えるのは画期的だ

 一般に、データ通信カードはCFタイプの方が使いまわしが利くので、特に目的がなければ“保険”としてCFタイプを買っておくのはアリだ。ところがD01NXの場合は内部構造が特殊なため、PDAなどで使い回そうにも対応ドライバの登場を待つ必要がある。また現時点に限れば、付属ユーティリティの使用感はD01NEの方が良好だ。

 そのほかにも違う点がある。高速通信時のCPU使用率の違いなどは、ノートPCで使用する場合は気になるポイントだろう。グラフはCPU(Pentium M)の動作クロックを800MHzに固定し、約2Mbps程度の受信速度でFTPでファイルを受信した場合のCPU使用率の違いだ。D01NEが25%以下、D01NXは40〜50%程度で推移している。

 FTPのようにCPUが“ファイル転送だけ”を処理する場合はいいが、画像を受信しながらHTMLをレンダリングするWebブラウジングや、動画のストリーミング再生などではそれなりに影響がありそうだ。

photophoto FTPでファイル受信した際の、D01NE(左)とD01NX(右)のCPU使用率。目に見えて違う。D01NEはCardBus接続でカードとPC間の転送速度が速いため、使用率が低い

 消費電力の詳細は後編で触れるが、わずかにD01NXのほうが低い傾向だ。特に、インターネット接続しているが、ほとんどデータを送受信していない状態ではD01NXの消費電力は明確に低い。しかし、ユーティリティが起動していると、インターネットに接続していなくても消費電力が高いという不思議な現象が発生した。

 これは、ユーティリティの監視動作が悪影響を及ぼしているのかもしれない。ユーティリティを終了すると目に見えて消費電力が落ちるが、筆者のノートPC(やたらCOMポートを認識している)が問題という可能性もある。今後の検証が必要だ。

 PHSもそうだが、データ通信カードはまずPCカードが先行し、次にCFカードが登場するという歴史を繰り返してきた。汎用ドライバが存在するのであれば、物理的に対応スロットが多いCFカードタイプを選ぶことが多かっただろう。

 しかし今回の2製品では、どちらも専用ドライバが必要だ。D01NXは特殊な作りで、汎用ではなく環境ごとの専用ドライバを用意することで、CFカードタイプらしい使いまわしの良さを確保する。

 だが、製品単体の感度はD01NEの方が良く、D01NXは外付けアンテナでカバーすることになる。契約期間中にノートPCで使い倒すのであれば、D01NEの方が細かい使い勝手がよく、気楽に使えるかもしれない。

 D01NEとD01NXは、“CFカードの方が使い回しが利く”という経験則だけで選ばないほうが良いだろう。後編では送受信速度や消費電力の違い、使える場所などに関してのレビューも行うので、こちらも参考にして頂きたい。

 動作保証の対象外となるものの、D01NEとD01NXを対応OS以外で使う方法もある。

 D01NEはLinuxの汎用ドライバでUSB接続のシリアルポート(USB CDC Class)として認識させるケースもあるようで、パフォーマンス面で問題はあるが対応機器以外でもモデムとして利用できるようだ。

 一方、D01NXは、CFカード(つまり16ビットPCカード相当)ということもあり、一般的な通信カード同様、標準的なシリアルポートとして認識されると期待していた。仮にそうであれば、Windows 2000以前のWindowsやWindows Mobile端末(古くはポケットPC)、非公式だがZaurusのSLシリーズなどでも動作する可能性がある。

 しかしD01NXは、D01NE同様にUSBホストコントローラを介して通信チップを接続しているうえ、16ビットバスにUSBコントローラを接続しているので、D01NEよりも特殊なハードウェアとなっている。そのため、D01NEの用に汎用ドライバで動作させることは、ちょっと難しそうだ。


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