イー・モバイルの契約数は約3万件――イー・アクセス決算発表(1/2 ページ)

» 2007年05月15日 13時10分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 イー・アクセスは5月14日、2007年3月期決算を発表した。連結売上高は前年同期比6.8%減の562億5000万円で、連結営業利益は前年同期比88%減の10億4900万円。連結経常利益は15億6400万円の赤字で、当期純利益は81.9%減の9億900万円となった。

 同社がコアビジネスと位置付けるネットワーク事業は好調で、単体の営業利益は過去最高となる前年同期比15%増の125億3000万円を達成。市場の成長が止まりつつあるADSL事業では年間契約数が純増となり、解約率も1.91%と予想を下回る数値となった。黒字体質へと変換したAOLブランドでのISP事業も、ネットワーク事業をけん引している。

 3月31日に開業した連結対象子会社のイー・モバイルは、初期投資段階ということもあり、単体で114億7000万円の営業損失を計上した。しかし、好調なネットワーク事業により、連結の営業利益および当期純利益は当初予想を上回っている。

 気になるイー・モバイルの契約者数は、開業時の予約状況では約1万7000件だったが4月末の段階では約3万件になるという。


2007年3月期決算のハイライトと、2008年3月期の見通し

眠れなかったイー・モバイルのサービス開始前夜

photo イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏

 決算説明会に登壇した同社代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、2007年3月期最大のトピックとしてイー・モバイル開業を挙げ、「開業日の朝に量販店に出向いたら、前の晩から並んでいたという人たちが行列を成していた。『EM・ONE』へ大きな期待を抱く方々へ、直接製品を手渡したことを昨日のことのように覚えている」と振り返った。

 これまでいくつもの事業をスタートさせてきた千本氏だが、“サービス開始時は何らかのトラブルが起きるもの”と不安でならなかったという。「開業数カ月前までは基地局設置のペースが遅れており、経営陣も週末を返上して奔走し、最後の5週間で遅れを取り戻した。正直、開業の2週間前からよく眠れなかった」(千本氏)と、開業直前の苦闘ぶりを明らかにした。

 「番号ポータビリティ開始時の受付停止など、通信事業で新たなサービスがスタートするときは予期しないトラブルが必ず起きる。イー・モバイルでは小さなトラブルがいくつか発生しただけで、幸い大きな障害は起きずに済んだ」(千本氏)

 そのイー・モバイルのサービスと端末ラインアップについても、世界で初めてとなる定額制のモバイルブロードバンドであることや、PDA型端末「EM・ONE」のスリムさや、高品質で大型の液晶ディスプレイ、ワンセグ対応などに注目が集まるという。

 「データカードやエリア展開についての評価も高い。自宅は高層マンションの40階で、NTTドコモもソフトバンクモバイルも圏外。窓際でようやくauが入るという場所のため、近隣住人がMNPでauに乗り換えている。自宅のPC用にイー・モバイルのデータカードを使っているが、部屋の奥にある台所や書斎でも2.3〜2.6Mbpsをコンスタントに出す。海外オペレーターのトップを自宅に招いてその速度を見せると、皆一様に驚き、さらに『月50ドルだけで使えるのはすごい』と評価してくれる。私のような使い方であればこの速度で十分なので、結局自宅の固定回線は解約してしまった」(千本氏)

 開業時は東名阪の中心部のみだったサービスエリアも広がり、首都圏では6月中には16号線内全域が圏内になるという(4月26日の記事参照)。また同社は、夏までに札幌市・仙台市・福岡市・北九州市でサービスを開始することを発表している(4月25日の記事参照)

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