KDDIの竹之内剛コンシューマ商品企画本部auサービス企画部長が、BREW JAPAN Conference 2007の基調講演で、コンシューマー向けコンテンツのマーケティング戦略について説明した。これまで展開してきたBREWのマーケティング活動を紹介するとともに、「ユーザーのライフスタイルに合ったマーケティング活動を実践していく」と、今後の方針についても言及した。
竹之内氏によれば、BREW対応端末の稼働台数は2300万台。単月のアプリのダウンロード数は700万を超え、2003年2月のEZアプリ(BREW)開始以来、累計で1億6000万ダウンロードを突破するなど、好調に推移している。
コンテンツのマーケティング戦略について竹ノ内氏は「これまでは技術をベースにした、押しつけがましい提案をしてきたのかもしれない」と振り返る。
ユーザーが欲しいコンテンツを探す場合、これまではEZwebのトップ画面からディレクトリをたどって探し当てるのが一般的で、KDDIが取捨選択した情報を一方的にユーザーに提案しているに過ぎなかった。しかし、検索エンジンとしてGoogleを導入したことで、ユーザーは素早く目的のコンテンツを入手できるようになった。
こうして見つけたコンテンツについてユーザーが、同社のSNSサービスのEZ GREEを通じて話題にするという流れもあるという。「私たちの押しつけがましいレコメンドから、ユーザー同士が、自分たちで何がいいのを言い合える環境が整った」(竹ノ内氏)
Web2.0的な発想でサービスを追加してきたKDDIが2007年、BREW普及のために掲げるのが「ライフスタイル戦略」だ。「時代が求めているものを総合的に提供するのが目的。ケータイの枠にとらわれず、ユーザーのライフスタイルにあったサービスやコンテンツを提供していく」(竹ノ内氏)
ライフスタイル戦略の成功事例として挙げるのが、「EZブック」におけるタイアッププロモーション。KDDIでは、プロモーションの一環として、「週刊少年ジャンプ」と「月刊少年ジャンプ」の17タイトルについて、1話目を無料でプレゼントするというタイアップを行った。
「キャンペーンを行ったことで、「EZ Book Land」のアクセスが増加。ダウンロード数が増えただけでなく、その話題がEZ GREEのコミュニティを通じたクチコミで広まり、さらにそれがau Booksで単行本を購入するという相乗効果につながった」(竹ノ内氏)。コミック好きのユーザーに対するタッチポイントを拡大したことで、コンテンツの普及が加速したというわけだ。
もう1つの事例がゲームにおける「ターゲットセグメントプロモーション」だ。KDDIでは、EZweb利用者にはゲーマーとゲーム初心者、さらには未経験者がいると分析し、ターゲットごとに異なるプロモーションを展開している。
未経験者向けにはゲーム特集の小冊子を作成してゲームの楽しみ方を提案。女性ファッション誌を思わせるおしゃれな表紙にして、auショップなどで配布している。
「ゲーム特集を全面に押し出した表紙にすると、ターゲットユーザーに持ち帰ってもらえない。スタイリッシュなデザインにしたことで、auショップでも人気の小冊子になった」(竹ノ内氏)
一方、ゲーマーや経験者向けに展開するのが、EZチャンネルの「ファミ通ゲームチャンネル」だ。ゲーム雑誌「ファミ通」と連携するだけでなく、動画コンテンツとしてゲームやゲームメーカーが主催するイベントを紹介。一方、そのイベントでは「ファミ通ゲームチャンネル」のチラシを配布するなど、相互協力しながらプロモーションを行っている。
「EZチャンネルで一方的に配信しても、ユーザーには届かない。ゲームユーザーが何を求めているかを理解し、ライフスタイルに寄り添ったマーケティングをしなくてはならない」(竹ノ内氏)
竹ノ内氏は、プロモーション戦略の今後について「BREWで作ったコンテンツプラットフォームをヨコ串につなげて、リアルにどう結びつけていくかに挑戦していきたい」として講演を締めくくった。
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