ここから出てきたのが、音楽も映像も「速く」「美しく」体験できることを表す「music trip」というコンセプトだ。「携帯電話を通じて、いかにユーザーの方々が“旅をするような楽しさ”を感じていただけるか。そこに注目した」(大澤氏)
music tripを構成するのは「10倍速いHSDPA」「5倍高精細な3インチワイドVGA液晶」「ヤマハのサウンドエンジンを使った本格サウンド」の3つの要素。HSDPAは、夏モデルではN904iが唯一の対応機種で、GPSと組みあわせて利用できる初の端末となった。「N903iではGPS利用時に地図のダウンロードが遅いという不満の声もあったが、HSDPAへの対応で快適に使えるようになった」(大澤氏)。N903iで初搭載したVGA液晶は、N904iで2.5インチから3インチへと拡大。ビデオクリップなどのムービーコンテンツを大画面で楽しめる。
そして、HSDPA対応で高速ダウンロードできるようになった着うたフルやビデオクリップを、高音質で楽しむために搭載したのがヤマハのサウンドエンジンだ。低音の再現性が高く、高音がクリアな点が特徴。「PCでは、もはやあたりまえのリッチコンテンツを、携帯のみで利用できるようになる」(大澤氏)。さらにFMトランスミッターの搭載により、ダウンロードした音楽をAVコンポやカーステレオのFMラジオに飛ばして聞くことが可能だ。
ユーザビリティにも手を入れ、ダイヤルキーの濁点の場所と逆トグルボタンの割り当てを、一般的な携帯と同じ場所に変更。他メーカーの端末から移行しても、迷うことなく使えるようにした。
N904iは、HSDPAや3インチのワイドVGA液晶といったハイエンド機能を搭載しながら、一見すると高機能な端末には見えないところが新しい。初代HSDPA端末「N902iX HIGH-SPEED」ではテクノロジー志向のユーザーをターゲットに技術ありきの訴求を図っていたが、N904iでは“便利だと思って使っていたら、それがたまたま高機能の恩恵だった”というアプローチを取った。
こうした方向性はテレビCMにも現れている。パケットに見立てたビスケットが携帯の中にサクサクと取り込まれ、それがYUKIのビデオクリップになって流れ出す。それを見ている女の子が元気を取り戻し、外に出かけていくという内容だ。
技術を訴求するのではなく、それを使っていかに楽しめるかを訴える──。新生“N”の挑戦が、どんな形でユーザーに届くのかに注目したい。
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