アクティベーションのプロセスは、利用者がAT&Tの既存ユーザーか否かで大きく変化する。もしAT&Tユーザーの場合は、
という2パターンから選択できる。一方でAT&Tの既存ユーザーではない場合、
の2種類を選択できる。(1)以外のパターンを選択した場合、他の携帯キャリアで使っていた電話番号を移し変える番号ポータビリティの利用が可能だ。今回のケースでは、筆者はすでにAT&Tの携帯電話を使用している既存ユーザーで、iPhone用の新規回線を契約したいため、(2)を選択した。当初は番号をiPhoneに移し替えようと考えていたが、iPhoneはSIMカードの差し替えに対応しておらず(※)、iPhoneに番号を移し替えると既存のSIMカードが無効になってしまうことが分かった。これで不便を強いられるのは嫌なため、今回の選択となった。
(2)を選択した場合、AT&Tですでに契約している電話番号、その際に登録した住所の郵便番号、そして社会保障番号(Social Security Number)の下4桁を入力する必要がある。この情報が一致するとAT&Tの既存ユーザーと認識され、次のステップへと進めるようになる。
AT&Tのアカウント登録にあたっては社会保障番号が必須だ。社会保障番号とは米国在住者の納税者番号みたいなもので、すべての行政サービスやクレジットカードの履歴はこの社会保障番号をもとに管理されている。旅行者や外国人は社会保障番号の入手が非常に困難なため、この社会保障番号の有無が米国在住者/非在住者を見分ける基準になるともいえる。AT&Tの料金の支払い自体は日本のクレジットカードでも問題ないのだが、契約時に社会保障番号が必要となるために、事実上、一般的な旅行者や外国人はAT&Tの契約電話を利用できない。これが今回、日本に住んでいる人がiPhoneを購入して利用できない障壁の原因である。
さらに、次の問題としてApple IDの存在がある。こちらも米国での登録には米国内の住所で取得したクレジットカードが必要になる。社会保障番号に比べれば取得難易度は低いものの、やはり誰でも入手できるものではない。社会保障番号と米国住所のクレジットカード、この2つがiPhone利用のためのキーポイントとなる。
必要事項を入力し終えると、アクティベーションのプロセスに入る。アクティベーション完了までの時間は、セットアップの時点でどの選択を行ったか、あるいは自身の登録情報がどのような状態かで変わる。筆者のケースでは、アクティベーション完了のメールが届くまでに少し長めの時間がかかったようだ。アクティベーションが完了した段階で再びiPhoneをドックに乗せてiTunesと接続すると、自動的にSyncを開始する。ここでiPhoneの名称を決めると初期設定が完了して、以後は自由にiPhoneを利用できるようになる。
電話番号に関しては、登録時に先方から勝手に割り当てが行われるようで、自由に選ぶことはできないようだ。米国の場合、携帯電話の番号は通常の契約回線と同様に市外局番が付くようになっているが、この市外局番はAT&Tとの契約で使用した住所のものとなる。
AT&TアカウントとApple IDという2種類のアカウント情報を入力して各種設定を行うなど、一見複雑なようにも見えるが、入力する情報さえ間違えなければスムーズにアクティベーションが完了するように出来ている。iPhoneのマニュアルでも、アクティベーションに関しては解説に1ページしか割いておらず、あとはiTunesの指示に従うようにと記されている。実際、一番シンプルな手順で設定を行った場合、最初から最後まで十数分程度でアクティベーションが完了するようだ。初心者でも比較的難易度の低い作業だと考えられる。
ともあれ、これでようやく自由にiPhoneが使えるようになった。
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