“AQUOSケータイ”はソフトバンクモバイル(当時ボーダフォン)から始まっただけあって、2007年夏モデルの「912SH」は、もう第3世代となる“AQUOSケータイ 3rd model”として登場する。前モデルの「911SH」から、ワンセグなどの機能や基本デザインは大きく変わっていないが、ディスプレイの解像度はワイドVGA(480×800ピクセル)と細かくなり、カメラも200万画素パンフォーカスから、320万画素のAF付きに大幅に進化した。
AQUOSケータイといえばサイクロイド機構が特徴。ディスプレイを横に90度回転させると自動的にワンセグが起動するようになっているが、912SHは横向き用のメニューUIもしっかり搭載し、縦でも横でも好きな方向で使えるようになったのも大きな進化ポイントだ。この回転動作と連動してカメラを起動できるように設定できないのはちょっと残念だが、ワンセグを起動する機能は無効にもできる。
カメラは従来機と同じく本体の裏面にある。個人的には、先日掲載した「F904i」のカメラのようにディスプレイの裏にあった方が撮りやすいと思う。光軸が一致するため構図を決めやすいし、本体を平らな場所に置いてディスプレイを適度な角度でセットすることで、適当な場所さえあればいつでもセルフタイマーを使えるようになるのもメリットなのだが。構造上、そして厚さを抑える関係上、開発も難しいだろうが、カメラ性能をここまで上げてくるのならあと一歩踏み出してほしかったかな。
さて、そのカメラはAF付きの320万画素CCDに進化した。CMOSセンサー搭載が当たり前になってきた今では少数派だが、シャープ製の高機能端末ならではの仕様といえよう。
撮影画像サイズは、VGA以上では基本的に縦長となり、ワイドディスプレイに合わせたワイド比率のサイズはフルHD(1080×1920ピクセル)と、待受画面(480×800ピクセル)サイズで選択できる。カメラ起動時にディスプレイを90度回転させて横向きにすると、撮影サイズが自動的に「待受(横)」(800×480ピクセル)となる。この場合、CCDの中央部を横長に切り出してワイドVGAサイズにするため、上下の画角が狭くなる(つまり少し望遠気味になる)。
それでも、持ち方を変えずにディスプレイを回すだけで縦位置/横位置を取り分けられるのが楽しい。ただ、もう少し大きなサイズの横位置サイズもほしかったところ。フルHDより少し下の、720Pサイズ(1280×720ピクセル)とか。ちなみに、横向き時はそのほかの撮影サイズも選択できる。その場合は、横長画面の中央に縦長のファインダ表示となる。これは仕方ないところか。
そのほか全体的に動作が高速で、レスポンスが非常によくなった。起動は約1秒と非常に高速(ちなみに、同じ夏モデルであるドコモの「SH904i」も非常にレスポンスがよくなった)。AFによる合焦には1秒程度かかるものの、撮影後の保存時間は約1秒とほぼ一瞬だ。すぐに次の撮影ができるので、気楽に何枚も撮れるのがよいのである。携帯カメラはAFや画素数などが日々進化しているものの、この撮影レスポンスが悪い機種がまだ多い。
デジタル式の手ブレ補正機能もある。しかしこれを使うと手ブレ補正の処理にやや時間が必要で、保存まで約5秒かかる。これは時と場合により使い分けたい。
撮影設定はアイコンが並んだメニューから行える。シンプルで分かりやすい項目は同社製端末譲りで、撮影モードメニューの中に手ブレ補正とパノラマ撮影機能の項目がある。
パノラマ機能は、画面上に表示される十字線を基準にしてカメラを動かしながら撮ると、自動的につながった超横長のパノラマ画像を作ってくれるというもの。高さは304ピクセルに固定されるが、横幅は自由。試しに360度以上のパノラマを撮ってみたが、きちんと最後までつないでくれた。これはいろいろと楽しめそうだ。
画像再生メニューもディスプレイの回転と連動するようになっている。左にサムネイル、右に大きめのプレビュー画像という分かりやすいUIを基本とし、ディスプレイの向きに応じて画像が表示されるようになっている。もちろん全画面表示も可能だ。
そのほか、Bluetooth対応なので撮った写真をすぐBluetooth対応PCなどに簡単に転送できるほか(ドコモのSH904iはBluetooth非搭載)、より高速なHSDPA通信にも対応するので、写真を掲載したmixiなどのSNSサイトの視聴もサクサク行える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.