「満を持してポータルサイトを統一する。auは携帯だけでなく、インターネットの世界を楽しく便利にする」──。PC向けポータルと携帯向けポータルの統合を発表したKDDIのコンシューマ事業統括部長の高橋誠氏は、同社の本格的なFMBC(固定とモバイルの統合、通信と放送の連携)サービスの幕開けを、こう宣言した。
KDDIはこれまで、総合音楽配信サービス「LISMO」の提供を皮切りに、オークションやナビサービス、ブログなど、PC/携帯の連動型サービスを多数導入してきた。2005年には携帯からのインターネット利用がPCのそれを逆転し、インターネットのモバイル化はさらに加速している。こうした背景のもと、満を持してサービスを統合するというわけだ。「固定、移動という概念ではなく、それらを1つにくるんだauを目指したい」(高橋氏)
これまでKDDIは、携帯向けの「EZトップメニュー」、auのサービスにPCからアクセス可能にする「DUOGATE」、固定通信サービスの利用者向けサイト「DION」の3つのポータルを運営してきた。9月下旬からこの3つのポータルを、“新たなポータルサイト「au one」に統合。IDやパスワードの共通化を進め、異なる場所や環境からでもパーソナライズされた情報やサービスにアクセスできるようにする。なおブランド統一後もEZサービスについては、ユーザーが混乱しないようドメインも名前も残すとし、LISMOもKDDIの象徴的な存在であることから名称は変更しないという。
インターネットサービスプロバイダ事業はau one傘下の「au one NET」に変更し、PCと携帯を融合させたサービスの開発を加速する考えだ。「すでに携帯でもPCでも使いやすいサービスを提供しており、これに3つのサービスを追加する」(高橋氏)
1つ目がGoogleのGmailをベースとした「au one メール」。1人あたりに2Gバイトの容量を割り当てるWebメールサービスだ。ユーザーには「○○@auone.jp」のメールアドレスが付与され、一元管理されたメールデータに携帯/PCからのどちらからでもアクセスできるようになる。
2つ目は知りたい情報をすばやく検索できる「au one キーワード」。関連するコンテンツ情報まで含めたトレンド情報を、横断的に検索できるサービスだ。
3つ目はauショッピングモールのPC展開。携帯向けサービスとして提供してきたこのサービスは、今や67万会員を擁し、総流通額がサービス開始当初に比べて約4倍に伸びている。これをPCの大きな画面で商品検索し、携帯で決済できる仕組みにするという。
KDDIは、タッチポイント(顧客との接点)を拡大することで、多種多様な世代とセグメントにリーチし、コンテンツ人口を拡大するという戦略を取っている(4月26日の記事参照)。圧倒的な認知度を誇るauブランドと携帯サービスを軸にしたポータル戦略で、FMBC戦略を加速させる計画だ。「これからいろいろなサービスを打ち出していくが、このコンセプトに基づいて新たなサービスを展開する。今までのauの“携帯だけ”というイメージを一つ一つひろげていきたい」(高橋氏)
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