23日には、日本のソフトバンクモバイルから副社長の松本徹三氏が登場し「The Future of Mobile Information & Communication Services」と題した講演を行った。松本氏は「(日本市場で)ナンバー1になることを目指している。それ以外に関心はない」と、“ナンバー1”にこだわるソフトバンクモバイルの意気込みを語った。
まず松本氏は、日本で成功をおさめているソフトバンクのサービスを列挙。特にポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を軸にしたサービスに触れ、「日本にeBayがないのは、Yahoo!オークションの存在が大きい」(松本氏)と述べたほか、ブロードバンド事業「Yahoo!BB」について「革新的な価格設定だった」(松本氏)とコメントするなど、ソフトバンクが日本の通信市場で有力なポジションを占めている点を紹介した。
そのソフトバンクが目指すのは、ADSL/FTTHなどの固定ブロードバンド回線とブロードキャスト・マルチキャストなどの放送事業に、3Gによる携帯電話事業を融合したサービスだ。あらゆる分野でトップとなった同社は、さらにモバイルもプラスしてナンバー1を目指す。それが“高い買い物”と言われた、ボーダフォン日本法人の買収目的でもあるからだ。
松本氏は、同社が目指す融合環境が「想像以上に大きくなる」と予想する。「それは、多くの人が電車やバス、コーヒーショップなど、会社や自宅以外で過ごす時間が意外に多い」(松本氏)からだという。人々は時間を最大限活用しようと、モバイル端末を手にする。その際、回線やサービスごとに違うデバイスを持つことは避け、融合を求める。こうしたニーズに応えるには、さまざまな機能が1つになった端末が必要だろうと予想した。
ソフトバンクモバイルは“ユーザーが必要としているサービスは何か”を常に考えているという。それは「満足できるサービスを提供すれば、それだけの対価を支払うから」(松本氏)だ。端末が1つになるというのも、多くの端末を持ち歩くことを不便と感じるユーザーが、おのずと選択する道といえる。
最後に松本氏は、現在注目しているキーワードをいくつか挙げて講演を締めくくった。Webマーケティング分野ではおなじみとなった「Web2.0」と「マルチレイヤーSNS」、ユーザーの時間を節約し生活を便利にする「クライアントサーバーシステム」と「モバイルエンターテインメント」、eコマースや決済サービスを支え大きな売り上げが期待できる「トランザクション」と「ヘルスケア/教育/行政サービス」などだ。
さまざまな方面に意欲を見せるソフトバンクだが、それには携帯電話事業の成功が必須だ。松本氏は「NTTドコモやKDDIは手ごわい相手であり、ナンバー1になるには10年かかるかもしれない」と述べている。しかしそれでも業界トップを目指し、同時に融合環境の構築に突き進む意気込みを語った。
“融合”という言葉が飛び交ったiMOBICON KOREA 2007。融合環境に伴う端末やコンテンツに関して、開発に向けた動きは見えてきた。しかし、どの規格が選ばれ、どんなサービスがキラーアプリケーションになるかは見通すことができない。
どんなに高度な技術、革新的な技術でも、ユーザーが受け入れないのであれば宝の持ち腐れになる。技術とユーザーニーズが釣り合うポイントはどこなのか、それを探る必要がありそうだ。
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