「新しいチャレンジとして、ビジネスユーザーだけでなく、コンシューマーユーザーにも使ってもらえるスマートフォンを開発した。法人の要求を満たせるものであると同時に、コンシューマーにも受け入れられるものを目指している」
NTTドコモ 執行役員プロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏は、Windows Mobileを搭載したスマートフォン「1100シリーズ」発表会の冒頭でこう切り出した。1100シリーズには、富士通製の「F1100」と、HTC製の「HT1100」の2機種がラインアップされる。
1100シリーズは、いずれもダイヤルキーを備えたスライド型の端末で、F1100はWindows Mobile 6 Standard、HT1100はWindows Mobile 6 ProfessionalをOSに採用。無線LANやFeliCaを搭載するF1100は企業向け端末色が強く、HT1100は企業ユースからハイエンドコンシューマーまでをターゲットとする。
コンシューマーユーザーを強く意識していることは、永田氏の「今回紹介する2機種は、携帯の形をしたWindows Mobile端末。今までユーザーがWindows Mobile端末に対して感じていた不満を思いっきり解決できるようなものを提供しようと考え開発した」という発言からも見て取れる。
ドコモは1100シリーズの開発にあたり、まずユーザーがWindows Mobileに対して抱いている用途と不満の内容を調査し、分析した。その結果、ユーザーがスマートフォンに求める姿が浮かび上がってきたという。それは、“PCや企業ソリューションとの連携といった、Windows Mobileならではのメリットを享受しながらも、携帯のような薄さ、軽さと使い勝手がほしい”というものだった。
「スマート“フォン”というだけに、実は音声通話も重要視されている。だからこそ携帯電話のような感覚で、自由な形で通話できることが重要だと考えた。また不満点としては多くのユーザーが『重い、大きい、かさばる』『通信速度が遅い』といった点を挙げ、『ケータイのように使えない』という不満も多かった。そこでドコモは、HSDPAに対応することで、下り最大3.6Mbps(上りは384kbps)での通信を可能にし、携帯のような形でスマートフォンのメリットを生かした端末を開発した」(永田氏)
このため、デザインは一般的なスライドケータイと変わらないものとし、キー配列やアイコンなどは携帯ユーザーになじみ深いものを採用している。永田氏は「今までドコモ端末を使っていた人なら、違和感なく使えるだろう」と話した。
もちろんWindows Mobileならではのメリットはそのまま継承しており、アドインアプリケーションなどが追加しやすく、PCとも高い親和性を持つ端末に仕上がっている。なおかつHSDPAでの高速通信をサポートし、「Biz・ホーダイ」(月額5985円)を利用すれば、定額でパケット通信を利用することも可能だ。セキュリティスキャンによるウイルス対策も備えている。
ドコモでは、2005年にモトローラの「M1000」を発売し、また2006年にはHTCの「hTc Z」やResearch In Motionの「BlackBerry 8707h」をリリースしているが、いずれも法人ユーザーを対象にしていた。しかしF1100とHT1100は、一部のドコモショップでも取り扱う予定で、コンシューマーユーザーも購入できるようにする。ゆくゆくは量販店などで販売する可能性も検討していくという。
hTc Zは、ドコモ中央のWebサイトで一般ユーザー向けにも販売しているが、店頭で購入できる1100シリーズとは状況が大きく異なる。店頭販売を行うということは、それだけのサポート体制を構築すること意味し、ドコモが本気でコンシューマー向けにWindows Mobile端末を販売していく姿勢であることが伺える。
1100シリーズの販売価格は、「まだこれから発売までの間にいろいろ検討しなくてはならず、確定ではないが」と前置きしつつ、「90xiシリーズと同程度になる」と永田氏は話していた。なお900番台の端末と1100シリーズは、当面の間併存していく。
永田氏は「ドコモはWindows Mobileのメリットを使って、新しいマーケットを取っていきたい」と強い意気込みを見せた。
ちなみに両機種ともHSDPA対応ということで、ドコモのHSDPAエリアがどれくらい広がっているのかも気になるところだが、永田氏によると「人口カバー率は90%を超えている」という。
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