液晶がスキャナーに、さらに指紋センサーに──シャープ、モバイル機器向けの新液晶パネル開発(1/2 ページ)

» 2007年08月31日 22時56分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 光センサ内蔵システム液晶

 シャープは8月31日、モバイル機器向けの新たなユーザーインタフェースを実現する液晶パネル「光センサ内蔵システム液晶」を開発したと発表した。9月にサンプル出荷、2008年春に量産を開始する予定。

 光センサ内蔵システム液晶は、各画素に光センサーを内蔵した中小型のモバイル機器向け液晶パネル。光センサーをタッチ操作やスキャン機能などの入力デバイスとして活用し、それを操作インタフェースをはじめとするさまざまな入力機器として応用するという考えだ。

 まずはスマートフォンやデジタルカメラなどを用途目的とする、320(横)×480(縦)ピクセル表示対応の3.5インチパネルを開発。より高解像度(高画素)ないし大型/小型のパネルも開発可能とし、大型のものは12.1インチクラス、小型のものは携帯向けの2.5から3インチクラスも想定する。

 例えば光センサーを“タッチパネル”として活用すると、今までの抵抗膜方式のタッチパネルで必要だったタッチパネル用フィルムが不要になる。そのため、液晶パネル本来の表示品位を損ねず出力でき、かつ薄型化も図れる。そのほか、各画素に光センサーが備わるので、そのまま“スキャナー”としても活用可能。コピー機を使うように印刷物をスキャンして使う名刺リーダーのような活用方法はもちろん、印刷された2次元バーコード(QRコードなど)の読み取りや指紋をスキャンする“指紋認証デバイス”としても応用できる。

photophoto 各画素1つ1つに光センサーを内蔵する「光センサ内蔵システム液晶」。液晶パネルはガラス上に駆動回路や電源回路を集積し、小型化を図っている
photophoto 従来のタッチパネルでは困難だった、複数の接触ポイントを認識できる(左)。液晶パネルがそのままスキャナになる特徴もある。これを応用し、指紋認証などもディスプレイだけで行えるようになるという(右)

 光センサ内蔵システム液晶は、接触ポイントを複数同時に認識できる特徴もある。画素1つ1つにセンサーがあるため、理論上は画素数分認識できるという。発表会場では地図アプリや楽器アプリに取り入れたデモが行われた。従来のタッチパネルでも実現できていた1本の指(ないしスタイラスペン操作)で地図を上下左右にスクロールする操作はもちろん、2本の指で拡大(指を広げる)、縮小(開いている2本の指を閉じる)、回転(1本の指を軸に、他方を文房具のコンパスのように回転)といった、複数の指を自然に応用した方法でも操作できる。

Get Macromedia FLASH PLAYER 「光センサ内蔵システム液晶」を活用した地図アプリのデモ。光センサーが複数の接触ポイントを認識し、2本の指だけで移動、拡大/縮小、回転動作が直感的に、かつ容易に行える

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