バッテリーは持つか、サクサク動くか──日本での発売が待ち遠しい「iPhone」の気になるポイントを再確認

» 2007年09月05日 14時48分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

 米Appleが発売した「iPhone」は、発売前にスペックや動作紹介の動画が動画共有サイトなどで大量に配信され、発売後はさらに多くの記事がWeb上に掲載されていることもあって、「通り一辺倒の評価リポートはおなかいっぱい」と感じる読者も多いはず。そこで今回は、多くの人が疑問に思うであろうポイントを解明していこう。

「そんなに機能を詰め込んだらバッテリーが持たないのでは?」

 iPhoneに関して最も多い意見がバッテリー容量に関するものだ。通常の携帯電話機能に加え、無線LANによるWebブラウジング、iPod機能による音楽や動画再生など、電力を消費する機能満載の製品である。通常の携帯電話であれば、すぐにバッテリーが空になってしまっても不思議ではない。ではiPhoneの場合、どうなのだろうか。

 答えを先にいえば、「普通の使用では問題ないレベル」にあるといえる。今回、週末の2日間を使い、それぞれ昼前にフル充電の状態にセットしたiPhoneを持ち運んで街を歩き回り、夜に家に戻るという動作を繰り返した。その間、常にiPhoneに触っていたというわけではないが、メールを巡回状態にセットしつつ、1サイクルほどプレイリストを再生。ときどき映画やYouTubeコンテンツをのぞいたり、街中のスナップ写真を撮影したり、映画を見るために上映時間をWebでチェックしたり、友人と電話で話したりと、可能な限り何らかの形で使い続けるようにしてみた。それにもかかわらず、1日目は7時間連続駆動でバッテリー消費は3分の1ほど、2日目はWebとビデオコンテンツ閲覧が中心で5時間駆動のバッテリー消費がやはり3分の1ほどと、半分を切ることはなかった。

 Apple公式の資料でも音楽再生で24時間程度、連続通話やビデオ再生で8時間ほどの動作が可能となっているので、ほぼスペックに近い形の結果が出たといえる。今後、バッテリーが劣化したときの稼働時間が気になるが、当面は大丈夫のようだ。携帯電話というライフラインの1つが一定期間使えなくなるのは痛手なので、Appleには将来的にバッテリー交換のための効率的なサービスを提供してもらいたいところだ(7月3日の記事参照)。

「画面に指紋がつきやすいのではないか」

 タッチパネルという性格上、画面が指紋などで汚れるのは避けられない。また、感圧式のパネルではないため、スタイラスペンのような入力デバイスは使用できない。基本は指でタッチしなければならない。間接的に物を挟んでのタッチでも、かなり薄手の布越しであれば認識されるが、非効率だろう。操作性を考えると、汚れるのを覚悟で指でタッチするほうがいい。

 指の汚れで画面が見にくくなるのでは、という心配もあるが、実際には画面が非常に明るいため、操作中の画面の汚れはほとんど気にならない。そして操作が一通り終わった段階で電源スイッチを押してタッチスクリーンを無効化し、画面を布などで拭けばよい。

PhotoPhoto まる1日使い続けたディスプレイの表面。汚い写真で恐縮だが、表面を光で照らすと、このように汚れが浮き出てくる。だが、この状態でも画面をオンにして見てみると、ほとんど汚れは目立たない

「動作スピードは遅くないか」

 AppleがWebで公開しているビデオ映像を見ているとサクサク画面が切り替わり、いかにも「スムーズに操作できますよ」といわんばかりの内容になっている。「その動きはあくまでデモ用のビデオで、実際はもっと遅いんでしょ」と考える人もいるはず。だが、ほとんどデモと同様の快適な速度で操作できる。

 何より、アプリケーションの切り替えがスムーズに行えるのがうれしい。例えば、iPhone以上に高機能な携帯電話やスマートフォンは存在するものの、個々の機能を切り替えたり、特定のアプリケーションを起動するにはやや時間がかかるという認識はないだろうか。ましてや複数のアプリケーションを同時に走らせた場合、どちらかの速度が犠牲になることも多い。だがiPhoneではプレイリストの楽曲を再生したままカメラで写真を撮影したり、Webサイトを表示してもスクロール速度などは落ちず、快適さは変わらない。また電源オンからロック解除、アプリケーション起動まで1秒程度で行えるなど、素早いアプリケーション起動もストレスを感じない。

 Webブラウジングにおいても、スクロールや画面の拡大・縮小は指の動きにほぼリアルタイムで追従するので、直感的に使えるインタフェースだといっていいだろう。多少複雑なページであったり、データ量の多いページの表示にはまごつくこともあるが、これはPCなどでも感じる問題なので、iPhone特有の現象ではない。

「EDGEのデータ通信速度は遅くない?」

 iPhone発売直前に一斉に製品レビューが報道媒体各社から出たとき(関連記事参照)、一様に指摘されたのが通信速度の問題だ。無線LANでストレスを感じることが少ないのは確かだが、問題はGSM/EDGEのネットワークでデータ通信を行った場合、本来iPhoneが持っている「快適な動作」という特徴が失われてしまうというと懸念する人は多い。

 GSM/EDGEは確かに低速だ。iPhoneのWebブラウザやYouTubeの動画を視聴する場合など、ある程度の速度を要求するアプリケーションを使用する場合には、無線LANが利用できる環境を探した方がいい。GSM/EDGEのネットワークは、緊急用くらいに思っておくべきだろう。PCでネット接続するために公衆無線LANを探すのと同様に、iPhoneでもアプリケーションを利用する際にはなるべく公衆無線LAN経由でインターネットに接続するようにする。

 だがアプリケーションによってはGSM/EDGEでも快適に使えるものがある。例えばGoogle MapやMailなどはGSM/EDGEでもストレスなく利用できる(ただしMailで添付ファイルがある場合は開くのに時間がかかる)。Google MapやMailは市街で公衆無線LANがないような外出先で利用するケースも多いので、GSM/EDGEのネットワーク網が役に立つ。もしWebページの閲覧が必要になった場合、緊急避難的に低速ネットワークで接続することも可能だ。正直な話、あれば便利だとは思うが、現在米国内で使っている分には、3Gに対応する必要性はあまり感じていない(日本で発売される暁には、3Gに対応していないとお話にならないだろうが、それはまた別の問題)。PC+携帯の中間的なデバイスの位置付けで用途を使い分ければ、いろいろ活用できると思う。

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