KDDIは9月18日、次世代高速無線通信の免許取得に向け、京セラ、米Intel、JR東日本、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行の計6社の共同出資会社で免許を申請すると発表した。
KDDIは8月末、100%出資の事業企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画」を設立。他の5社は、新会社が9月27日までに行う増資に応じる形で共同出資する。
増資後資本金は8億5000万円。KDDIの出資比率は3分の1以下となる32.26%。Intelの投資部門Intel CapitalとJR東日本、京セラが17.65%ずつ、大和証券グループ本社が9.8%、三菱東京UFJ銀が5%。社長にはKDDIの田中孝司常務・ソリューション事業統括本部長が就任した。
KDDIは昨年、国内初のWiMAX実証実験を大阪市で実施するなど、WiMAX技術の開発と実用化に早くから取り組んできた実績がある。大株主の京セラ、WiMAX規格化を主導してきたIntel、駅・線路というインフラを持つJR東日本と、金融2社を交えた異業種連合で免許取得を目指す。
総務省は次世代高速無線通信の免許を2社に割り当てる予定。既存の携帯電話事業者の単独参入は認めておらず、出資比率を3分の1以下に抑えた新会社なら参入可能としたため、既存キャリアは他企業と連合して参入を目指している。KDDI連合のほか、WiMAXサービス展開を目指すNTTドコモとアッカ・ネットワークス、ソフトバンクモバイルとイー・アクセス、次世代PHSの展開を計画するウィルコムが免許取得を申請する予定。
6社の幹部と新会社の社長が同日、そろって都内で会見し、免許取得への意欲を語った。KDDIの小野寺正社長は「当社は2003年からモバイルWiMAXに着目し、2006年にはWiMAXフォーラムのボードメンバーになるなどモバイルWiMAXの標準化・実用化に寄与してきた。これが新会社の強みになる」と実績をアピールする。
京セラ、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀がサポートする資本力も強みだ。米Sprint Nextelや米Intelとも連携し、ローミングを含めた国際展開を計画。国際性もアピールしながら免許取得を目指す。
免許が取得できた場合、まずはモバイルPC向けに展開していく予定だ。PCカードなどで利用できるようにするほか、Intelの協力を得てモバイルPC・UMPCへの組み込みを進める。「Centrinoで広げたWi-Fiと同様、PCに組み込んでWiMAXを広げていきたい」(インテルの吉田和正社長)
サービスエリアは、auのインフラやノウハウ、JR東日本の駅や線路などを活用して広げていく計画。エリアが広がり次第、デジタル家電向けや企業向け通信サービスも順次展開していくほか、MVNO事業者にも積極的にインフラを提供するという。
携帯電話への組み込みは今のところ考えていないという。「auは携帯電話中心で、WiMAXは組み込みでやる。対象・用途が異なると考えている」(小野寺社長)
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